ドコモとauの料金改定の影響もあり、再びそのオトクさで注目を集めている楽天モバイルとMVNOの格安SIM。なかでもヘビーユーザーにとっては、通信量無制限で月3278円で使える「Rakuten最強プラン」は光る。ただし、問題はその中身。もちろん3大キャリアに匹敵する品質なら割安なのは間違いないが、そうでないならまた見方は違ってくる。2025年5月現在での状況をあらためて確認した。
日々改善されているのは確かで
首都圏では実用上の支障はなくなりつつある
先に結論から言えば、楽天モバイルはエリア充実の手を緩めていない印象で、日々改善されていると言える。先行する3大キャリアには及ばないものの、使い方によってはほぼ問題ないと言える。
使い方によって変わるというのはもちろんエリアの問題で、それぞれのユーザーが“どこで使うか”となる。少なくとも首都圏在住の筆者の活動範囲で「圏外」に遭遇することはない。お店でコード決済をするのに通信不可能になることもない。
もちろんこれは筆者個人の行動や使い方での話。行動範囲としては、首都圏の郊外まで移動することも多いものの、山奥にはほとんど行かず、平野部を移動しているにすぎない。そのような使い方では、楽天モバイルにしてまず問題ないと言える。
楽天モバイル網の地下鉄での改善は進むが
まだ速度が極端に遅くなる場面があるのは確か
昨年11月にも、楽天モバイルの状況を本連載で記事にしているが、地下鉄での速度低下を指摘した。
その際は混雑した地下鉄に乗ると、駅と駅の間での速度低下が著しいとしている。ところが、2025年5月現在、首都圏の東京メトロの駅間についてはかなり改善されている。楽天モバイルは、2026年3月末までに東京メトロの基地局での帯域幅を、既存のものも含めて、従来の5MHz幅から20MHz幅に広げるという解決策を公表。朝のラッシュ時に地下鉄に乗ってみると、実際に速度改善を体感できる。
どの駅間で速度が落ちるか、細かく記録を取っているわけではないが、これまで混雑時はまったく動画を見ることができなかった路線でも普通に見られることは確認している。
しかし問題は東京メトロ以外。首都圏在住の筆者は全国の地下鉄を調べたわけではないが、一例として今回挙げるのは都営地下鉄浅草線の駅間ごとの速度だ。
今回試したのは午前10時頃と、通路に人が立つ程度の(ラッシュ時ほどではない)混雑状態。駅を出発してトンネルに入ったところから計測したのが以下の数値だ。
10時頃の都営浅草線(Mbps) | 下り | 上り |
---|---|---|
楽天モバイル | 0.88 | 6.60 |
UQ mobile | 19.40 | 6.52 |
ドコモirumo | 69.90 | 4.40 |
楽天モバイルは1Mbps以下まで落ちるなど速度低下が著しかった。これは駅間だけの現象なので、列車が駅に停車しているとき少しはマシになる。動画・音楽配信では回線が良好なときに、一気にデータを蓄積するようなアルゴリズムのアプリではあまり気にならないかもしれないが、速度のムラが反映されやすいアプリではストレスを感じるかもしれない。
特にラッシュ時で列車が詰まり、駅間で信号待ち停車が頻発するような状況で駅間の問題は顕著になる。もちろん楽天モバイル側も状況を認識しているはずで、逐次解決されるだろうが、現時点で利用が厳しい路線があることは認識しておいたほうがいいだろう。
地上ではほぼ問題を感じなくなっている
一方、地上では特に問題を感じない。速度計測をすると数字的には他社よりも下回るものの、実際の使用感において差を感じることはないばかりか、楽天モバイルはデータがムラなく流れてくる印象があり、「他社より快適」と感じるときもある。
17時30分頃(Mbps) | 下り | 上り |
---|---|---|
楽天モバイル | 23.90 | 9.72 |
UQ mobile | 54.10 | 7.20 |
ドコモirumo | 107.10 | 3.94 |
平日12時45分頃(Mbps) | 下り | 上り |
---|---|---|
楽天モバイル | 15.80 | 6.10 |
UQ mobile | 59.70 | 6.63 |
ドコモirumo | 95.30 | 8.71 |
昼休みの時間帯はMNOの中では楽天モバイルは速度低下が目立つが、10Mbps以上出ていれば遅さを感じることはまずないだろう。動画配信も問題なくできた。
前述のように筆者の行動範囲は主に首都圏と近郊までなので、地方都市などの場合は異なる印象を受けるかもしれないが、首都圏で使っている人にはほぼ問題はないと言ってもいいのではないだろうか。