LINEはスマートスピーカー「1人負け」を抜け出せるか

文●石川温

2018年07月02日 09時00分

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 LINEは6月28日、千葉県舞浜において、今後の方向性を示す「LINEカンファレンス2018」を開催した。金融やメディア、コマースの戦略が語られる中、LINEが注力していたもののひとつが、同社のスマートスピーカー「Clova」だ。

 昨年秋に登場したClovaだが、国内市場ではグーグル「Google Home」とアマゾン「Amazon Echo」の話題ばかりになっており、どちらかといえばスマートスピーカー市場は「2強1弱」として語られることが多い。そんな中、LINEがどのような戦略でスマートスピーカー市場で巻き返してくるかが注目であった。

 今回の発表を見ていると、LINEがグーグルやアマゾンとは一線を画し、独自路線でスマートスピーカー市場を戦おうとしているのがよく分かる。

●かわいさと新技術をアピール

 たとえば、初代ClovaのWaveは味気ない単なる円錐台のデザインだったが、2代目からは同社のキャラクターであるブラウンとサリーをあしらったClova Friendsを投入。さらにはドラえもんのデザインを施したClova Friends miniを発売済みだ。今回のカンファレンスでは新製品として「ミニオンズ(MINIONS)」を発売すると明らかにした。

 どちらかといえば、海外のスマートスピーカーは「スピーカー」に徹しており、無機質なデザインばかりだ。

 そんな中、同社の舛田淳CSMO(Chief Strategy & Marketing Officer)は「スマートスピーカーのプレイヤーでキャラクターにこだわるのはうちぐらいなものではないか」と胸を張る。確かに日本のユーザーはキャラクターを好む傾向がある。その点でLINEの戦略は間違っていないのだろう。

 今回、舛田氏のデモで特に印象的だったのは、オリジナルの音声をClovaがしゃべる声にできる技術「DNN TTS(Deep Neural Network Text to Speech)」だ。

 従来Clovaで再生する音声を生成する場合「数百時間の収録時間が必要であった」(舛田氏)というが、DNN TTSにより、Clovaの音声をベースにしつつ、新たに収録する音声データを付加することで、すべての作業が4時間で完了する。

 実際、カンファレンスでは舛田氏の声を収録したClova Friends miniでデモを実施。最初はうまく聞き取らないというお約束のような反応であったが、音声が舛田氏の声に切り替わると、見事に「本人と本人の声のClova Friends mini」が会話をして、丁々発止のやりとりを展開していたのが印象的であった。

 「本人が指示した声に本人の声が反応する」というとても奇妙な光景であったが、スマートスピーカーの新しい使い方としての可能性を垣間見た気がした。

 LINEではこの技術を活かし、将来的にはアニメキャラクターや声優、セレブやアイドルといった音声をClovaで使えるような世界観を目指していくという。もちろん、ユーザーの声への対応も視野に入れており、恋人や家族などの声を吹き込むということも可能になりそうだ。

●「画面つき競争」でも優位示す

 LINEでは7月より、Clovaの付加機能である「スキル」の開発環境を開放。企業などがClovaのスキルを開発し、今夏オープンの「Clova Skills Market」で配布できるようになるという。初期パートナーとしてローソンやJAL、スカパー、ウェザーニュース、駅すぱあとなど34社50以上のスキルが順次公開される予定だ。

 すでにAmazon Echoにおいては、日本国内でも1000種類以上のスキルが提供されているだけに、LINE Clovaとしては一刻も早く、Amazon Echoに追いつく必要がありそうだ。

 「Amazon Echoに追いつく」といえば、LINEでは、同社初の画面付きスマートスピーカーとなる「Clova Desk」を今冬に発売すると明らかにした。アマゾンもすでに画面つきとなる「Echo Spot」を7月26日に発売するとアナウンスしたばかりだ。

 画面つきのスマートスピーカーは、声で話しかければ情報や動画などをすぐ画面で表示してくれるので、返答の声を最後まで聞かなくていいというメリットがある。

 もちろんグーグル陣営も、レノボやLGエレクトロニクスなどが画面つきスマートスピーカーを開発中で、アメリカでは7月にも発売されるという。ただし日本語対応もしなければならないため、日本への上陸は未定だ。

 早くも、スマートスピーカー市場は「画面つき」の戦いに突入したといえるだろう。そんな中、LINEはスマートスピーカーの画面だけでなく「スマホのLINEアプリでLINE公式アカウントとも連携できる点が他社にはない強みだ」と舛田氏は語る。

●最大の強みは「トヨタ」「パナソニック」か

 スマートスピーカー市場は三つ巴の戦いとなっているが、LINEの強みとすれば、やはり「日本企業との連携」という点が大きいだろう。

 クルマとの連携に関しては、LINEはトヨタ自動車と深い関係にある。今回も「Clova Auto」という車内で音声操作によって、LINEの送受信や無料音声通話が可能となる仕組みが2018年冬から使えるようになると発表があった。

 また、スマートスピーカーは家電連携を売りとしているが、LINEではパナソニック、シャープ、東芝、三菱電機、リンナイ、リクシル、Qrioといった日本メーカーとのパートナーシップを結んでいる。

 日本のユーザーの家庭には、当然のことながら日本メーカーの機器が多いわけで、将来的には「日本の電化製品やクルマと最も多くつながるのはLINE」ということもありえそうだ。

 スマートスピーカー市場は、「いかにパートナーを集め、実用性のあるスキルや家電連携を提供できるか」が今後、3社の競争軸となっていきそうだ。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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