松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルはサブスク時代「Apple TV」をどう売るか (1/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年06月12日 09時00分

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 アップルの開発者会議WWDCの基調講演は、tvOS → watchOS → iOS → iPadOS → Mac Pro → macOS → AR Kit 3 → SwiftUIという順序でプレゼンテーションが進みました。後半に行くにつれてボリュームが増していくという流れで、iOSが中盤あっという間に過ぎ去ったことには驚かされました。

 さてWWDC19のトップバッターはtvOSでした。冒頭に持ってこられたからといって重要度が低いというわけではありません。

 アップルはサービス部門の成長を目指す中で、リビングルームはモバイルに次ぐ重要な戦略領域になります。その核となるテレビについては、Apple TV+というサブスクリプションサービスを発表済みです。今秋登場する予定のtvOS 13で、どんな変化がもたらされるのでしょうか。

●その前に、1度整理を

 tvOS 13について触れる前に、一度Apple TVについては整理しておかなければならないことがあります。というのも、アップルは、Apple TVという存在を仮想化しているからです。

 デバイスとしてのApple TVは、アップルが販売しており、第4世代以降はtvOSが動作し、アプリを追加することができるようになりました。しかしアップルは2019年に入って、スマートテレビや他社製のセットトップボックスでApple TVアプリを導入することを発表しました。こちらはデバイスとしてのApple TVではなく、アプリとしてのApple TVです。ちなみにApple TVアプリは、iPhone、iPad、Macにも導入されています。

 同じ名前であるため混乱しやすいのですが、Apple TVアプリは各種ストリーミングサービスの横断検索(串刺し検索)ができて、自分が契約しているサービスからどこで見るかを選ぶことができます。また「次はこちら」(Up Next)機能で、お気に入りの番組の新作をリストアップしてくれます。

 またApple TV+やApple TV Channelsといった購読サービス、iTunesでの映画とテレビ番組の販売・レンタルを扱うことになり、アップルのテレビサービスの窓口という位置づけになります。Apple TVアプリはいわば、デジタル時代の番組表のような役割といえるでしょう。

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