最新iPhoneでキャリアそのまま、格安で“ギガ”を増やせるeSIM契約

文●正田拓也 編集● ASCII編集部

2019年07月28日 12時00分

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01.png eSIMを登録して2回線ぶんのアンテナマーク

 通話は既存の契約のまま、データ通信だけを別のSIMでまかなう方法がある。2つのSIMを同時利用できるDSDS(DSDV)に対応したSIMフリースマホがこれまでは必要だったが、最新iPhoneがeSIMを搭載し、そのeSIMに対応したサービスが登場したことから、メインの回線はそのままで、データ通信は格安ということが可能になった。早速契約して利用してみた。

eSIMを登録して2回線分のアンテナマークが表示

なぜeSIMで“ギガ”が増やせるのか

 最初にeSIMについて説明すると、eSIMとはSIMを電子的なものに置き換え、ネット経由で取得して有効にすることができるものだ。物理的なSIMと違って、ネット環境があればSIMを受け取りに店に出向いたり、配送を待ったり、差し替えたりといった手間なく利用できる。

 現在、eSIMに対応した端末は世界で少しずつ増えているが、現時点で国内に正規導入されたスマートフォンでは最新世代のiPhone XS/XS Max/XRが対応。タブレットでは、最新iPadやSurface Pro LTE Advancedも含まれる。

 では実際にどのように“ギガ”を増やせるかといえば、eSIMを使うことで、既存の契約とはまったく別のデータ通信の契約を追加できるためだ。データ通信についてはeSIM側に担当させ、格安SIMのデータ通信を使うことで、安くギガを増やして使えるということだ。

eSIMが副回線とし、データ通信はすべてeSIMを使うという設定が可能

 具体的なサービスとしては、7月18日に開始されたIIJmioの「eSIMプラン (ベータ版)」がある。月6GBの高速通信が付いて月1520円。支払額はユニバーサルサービス料と消費税込みで月1645円となる。既存の契約の種類にもよるが、ギガが足りなくて困っているなら足りなくなりそうな時点でデータ通信をeSIMに切り替えるといい。また、段階制で料金がどんどん上がっていくデータ定額の場合は、データ通信をeSIMに担当させることでメインの回線は最低額で済み、それにIIJmioの1520円が加わる形となる。

7月18日から開始したIIJmioの「eSIMプラン (ベータ版)」

 たとえば、auの「新ピタットプラン」を固定回線割引や複数割引などなしに使っている場合、音声通話がまったくくない状態で1GBまでのデータ通信なら月額2980円(最初の約1年間)だが、1GBを超え4GBまでなら4480円、さらに4GBを超えると5980円となる。ドコモの「ギガライト」も段階が異なるが、1GBまでが2980円、5GBを超えて7GBまでは5980円と似たような内容だ。

 auやドコモのプランは段階ごとの増額が少なめだからいいが、ソフトバンク「ミニモンスター」だと、1GBは2980円(最初の約1年間)だが、1GBを超えて2GBまでだと4980円に跳ね上がり、2GBを超えて4GBまでは6480円とさらにアップ、4GBを超えたら50GBまでは一定の7480円となる。

 これら3キャリアにIIJmioのeSIMを加えると、最低でも2980円+1520円=4500円がかかってしまうが、6GB(+メイン回線側の1GB)までこの金額で利用できる。この仕組みは、2枚のSIMを同時利用できるDSDS(DSDV)機に慣れ親しんだ人とっては、単に2つ目のSIMが電子的なものになったと捉えるとわかりやすい。AndroidのSIMフリースマホでないとできなかった使い方が、いよいよ日本のiPhoneでも可能になったということだ。

IIJmioのウェブサイトから契約すれば
すぐにeSIMが利用可能になる

 まず、eSIMでの契約には現行最新モデルのiPhone XS/XRが必要で、かつキャリアから購入した端末の場合はSIMロック解除が必要だ。IIJmioのeSIMはドコモのネットワークを使いエリアも同じ。しかし、IIJmioが独自にコントロールするSIMのため、たとえドコモ販売分のiPnoneであっても、IIJmioのeSIMは利用できない。

 対応したiPhoneさえ用意できれば、あとはウェブサイトで契約するだけ。ウェブ上に用意されるQRコードを表示させて、iPhoneから読み取る必要があるため、iPhoneとは別のPCなどで手続きするのが望ましい。

IIJmioのウェブサイトから申し込む。7月中の開通なら初期費用1円というキャンペーンが適用される

 申込完了後に届く「ご利用開始のお知らせ」というEメールにはアクティベーションコードとURLの記載があり、IIJmioのウェブサイトにアクセスする。そこで表示できるQRコードをiPhoneの「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」から読み取る。これがeSIMのプロファイルを設定したことになる。

メールで届く利用開始案内から、URLを開くとQRコードが表示される
iPhoneへの登録は、[設定]→[モバイル通信]から[モバイル通信プランを追加」から

 途中、「保証されていないモバイル通信プラン」という注意が出されるが、IIJmio「eSIMプラン (ベータ版)」自体がベータ版として試験サービスのため、ある程度はユーザーで解決する覚悟は持っておきたい。最後の方で選ぶ、主回線と副回線の役割だが「“副回線”をモバイルデータ通信にのみ使用”」を選ぶ。

最初にIIJmioのeSIMを設定したときにこのような注意が出る。eSIM側ではデータ通信のみを利用する

 一応これで通信ができるようになったが、テザリングで使うためには、APNの設定を手動でしておく必要がある。「設定」→「モバイル通信」→「副回線」→「モバイルデータ通信ネットワーク」において、「モバイルデータ通信」と「インターネット共有」の項目にIIJmioから指定されるAPN情報を設定する。

これで2回線の同時待受が可能になった。アンテナピクトは2つを上下に表示する
eSIMはそのままで自動でAPN設定がされるが、テザリングで利用するには手動での設定が必要。また、データ通信はどちらのSIMで利用するかを選ぶことも可能

IIJmioは初月から通信量も月額利用料も日割

 「eSIMプラン (ベータ版)」に契約したらすぐ6GBまで使い放題と思いたいところだが、注意点もある。IIJmioの場合、加入月は日割で計算される。月額料金はもちろんのこと、データ通信容量も日割。そのため、月末に加入すると割り当てられる通信量が小さい。月末に開通させるとすぐに上限に達してしまい、翌月1日まで我慢しなければならない。

 OCN モバイル ONEのような初月無料や、月末加入でも1ヵ月分の容量が割り当てられる他の格安SIMとは異なっている点は注意が必要だ。また、不満があったとしてもIIJmioは開通翌月末まで解約ができない。契約期間を最短で済ませるには、月末に開通させることが有利だ。

混雑による速度低下も格安SIMと基本同じ

 注意しなければならないのは混雑による速度低下の問題だ。MVNOの格安SIMでは一般に、多くのユーザーが使う平日の12時台は速度低下が発生する。IIJmioも例外ではなく、今回のeSIMプランでも同様の傾向がある。

 混雑時間帯以外では下りで100Mbps超の速度を出すこともあるIIJmioだが、昼の混雑には弱く200~300kbpsまで速度低下することも。もしも、昼休み休憩に見逃したテレビドラマをネット視聴することが目的なら、動画がカクカクと停止して快適に見られない可能性がある。

午前中の会社が始まる前での計測。100Mbpsオーバーということもあるが、反面、極端に遅い時間帯も

 ただし救いは、混雑時間帯でも上りの速度は他社に比べて速いことが多く、動画のアップロードや高解像度写真の投稿が多いユーザーからにとってはIIJmioはありがたい格安SIMとなっている。

差し替えが自由ではないという欠点に加え、
新しいサービスだけにまだまだ制限もある

 なお、契約した端末のままで使っているぶんにはまったく問題がないが、物理的なSIMの抜き差しのように自由に利用する端末を変更できないのがeSIMの弱点となる。IIJmioの場合、eSIMのプロファイルを削除してしまった場合、アクティベーションコード再発行に2000円の手数料がかかる。そのため契約したeSIMを他の機種に気軽に移し替えることができない。

 たとえば、iPhoneを買い換えて、新しい端末でeSIMを使いたい場合、一度削除してあらためて登録するのに2000円かかる。SIMを差し替えて、いろいろなスマートフォンなどに組み込んで使ってみたいというニーズには向いていない。

 またeSIM側はそのままで、通常のSIMを差し替えることはもちろん可能だが、試した限りでは構成プロファイルでAPN設定する必要がある格安SIMの場合は、通常のSIM側のデータ通信ができないか不安定になることが多く、頻繁に交換すると問題が起こりそうだ。通常SIMとeSIMでネットワークを別して冗長性を確保する意味も薄れてくる。

 IIJmioの公式ブログ「てくろぐ」には(http://techlog.iij.ad.jp/archives/2607)、より詳しい情報が掲載されているので契約前に一読しておいたほうがいいだろう。また、トラブルの回復でリセットが必要となり、eSIMの登録しなおしが必要になれば、再発行手数料2000円がかかってしまうので注意したい。

それでもeSIMを試したいなら7月中に契約がオトク

 「ベータ版」が付いた新しいジャンルのサービスであるために、制限はまだあるものの、eSIMを使うと便利になりそうなパターンを考えたい。まず、最新世代のiPhone XS/XRを持っていることが大前提で、キャリア販売モデルならSIMロック解除も済ませておく必要がある。

 トラブルを自力解決できる人限定だったり、多少の不具合の発生を理解できれば、安価に“ギガ”増やしに活用できるほか、何より新しいモノ好きなら挑戦しておいて損はない。IIJmioの「eSIMプラン (ベータ版)」を7月中に申込みすれば、デビュー応援キャンペーンで加入料が1円、7月分の日割りと8月分を足して最低2000円以下から試すことができる今がチャンスだ。

 一方で特に普段からMVNOやサブブランドの格安SIMを使っている人は、無理にeSIMにせず単純にプラン変更で容量を上げたほうがよい場合も多いので、費用やデメリットをよく確認したうえで契約したい。

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