スキャンダルなど紆余曲折の“Androidの父”は、Essential Phone 2をどんな形で世に送り出すか

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2019年10月05日 12時00分

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 ”Androidの父”こと、アンディ・ルービン(Andy Rubin)氏が立ち上げたEssential、一時期身売りの噂もあったようだが、次期製品が出るかもしれない。初代かつ現時点で唯一のスマートフォン「Essential PH-1」は必ずしも成功とは言えなかったが、2機種目はこれまでとは違うAIを駆使したものになるのでは? という説が出ている。

海外では2年前に登場したEssential PH-1。後継機となる“Essential Phone 2”は本当に出るか!?

初代の販売台数は15万台?
大きな成功を収められなかったEssential Phone

 Essential Productsは2015年創業のハードウェア企業。新興スマートフォンメーカーは数あれど、Essentialを目立たせていたのは、創業者の一人にルービン氏が名を連ねていることだ。ルービン氏はご存知のように、Android社の起業後に買収を受けて、グーグルに入社し、スマートフォンOSとしてのAndroidの開発と成功の立役者となった。

 そのルービン氏がグーグル退社後に立ち上げたのが、ハードウェアを中心としたベンチャー投資のPlayground Global。Essential ProductsはPlayground Globalの一社として立ち上げた形だ。

 「Essential PH-1」が登場したのは、2017年秋のこと(日本からも2018年春に購入可能に)。予定より遅れての登場となったが、ルービン氏の細部やクオリティーへのこだわりを表現したものとなった。たとえば、チタンとセラミックといった素材、全画面ディスプレー、磁気コネクターによる拡張、同時に発表した付属品の360度カメラなどだ。また、OSのアップデートがきちんと行なわれる点などもさすがと言えよう(Android 10もすでに提供されている)。

 しかし業績はかんばしくなかった。当初699ドルだったものの、その後値下げ。2018年にBloombergが身売りか? と報じた時は、販売台数は15万台と見積もられていた。なお、今年のMWCにEssentialはブースを構えていなかった。

音声入力が中心のAIフォンが目指すものは……

 そして今回の”Essential 2”、”Essential PH-2”の情報だ。身売り話とともにキャンセルになったと言われた後、2018年12月にEssential側がメディアに対して、開発中であることを認めた。現時点では、2019年6月にルービン氏自身が「アナウンスする。注目してほしい」とツイートしたのが最後だ。

 そもそもの発端はやはりBloombergの記事で、2018年10月に「AI Phoneを開発発中」と報じた(https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-10/android-creator-is-said-to-build-ai-phone-that-texts-for-you)。それによると、PH-2は「標準的なスマートフォンとは異なる」ものとなるとのこと。音声入力が主な入力方法になるため画面は小さく、メッセージへの返信などはユーザーの行動から学び自動化するという。スマートフォン市場は成熟しており、これまでと同じようなスマートフォンでは差別化は図れない。それを考えると、「当時開発していた2機種目は、市場にあるスマートフォンに似ていたので打ち切った」という判断は正しいと言える。

 そのBloombergの記事によると、ルービン氏は1年前のインタビューで「スマートフォンが自分のバーチャルバージョンになることができれば、いちいちスマートフォンを取り出して操作することなく、ディナーを楽しむなど生活を楽しむことができる」「中毒的な使用の問題の一部を私が解決できるだろう」といったことを語っていたという。

 このほか、画面からカメラセンサーが見える半透明の画面か? Snapdragon 855か? 730か? といった憶測もある。

新しいスマートフォンの形を示すものを期待したいが?

 昨今のスマートフォン市場はカメラにばかり注目が集まってきた。もしルービン氏らが開発中のEssential 2がガラリとフォームファクタや入力の方法を変えるものになるとすれば、現在のスマートフォンの進化の方向性に変化をつけることになるかもしれない。Rubin氏としても、ここ数年、その功績よりもスキャンダルの方が注目されてしまい、技術者として本領発揮を披露したいところだろう。

 一方で、ユーザーが自身のバーチャル版として任せられる存在になるためには、スマートフォンにはセキュリティーや信頼などの課題がある。ひょっとすると時期尚早かもしれない。このあたりをルービン氏らがどのように解決して市場を率いていくのか。

 また、ビジネスモデルも気になるところだ。初代Essentialは、キャリアはSprintのみ。SIMフリーがメインとなった。2機種目でも継続してSIMフリー市場に訴求することになるのだろうか?

 Essentialの公式サイトを見ると、最後のブログ更新は2018年11月となっている。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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