松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルiPhone空中ジェスチャー対応への期待 (1/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年10月15日 16時00分

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 アップルはユーザーインターフェイスについて、しばしば同社の歴史をプレゼンテーションに織り込むことがあります。そこで語られるのは、Macのマウス、iPodのクリックホイール、そしてiPhoneのマルチタッチ。

 本当はここにApple Watchのデジタルクラウンを追加したいのかもしれませんが、さすがに時計以外のデバイスへの汎用性を求めるのは難しいかもしれません。でもソニーはケータイにジョグダイアルが搭載されていて、操作が最高に気持ち良かったことを思いだし「なしではないな」と思いました。

 とはいえ、タッチパネルは、稼働部やボディの隙間を減らし、表示部分を増やし、多様な操作と薄型化を両立させる点で、モバイルデバイスにとっては非常に重要な装置となりました。しかしそのタッチパネルについて、アップルはあるギミックを取り去ることにしたようです。

●押し込む操作

 アップルはiPhone 6s世代から、マルチタッチの拡張に取り組みます。3D Touchと呼ばれる新しい操作は、圧力を検出する仕組みがスクリーンに追加し、タッチの検出と組み合わせて、その箇所を押し込む入力方法を追加したのです。

 この圧力を検出するマルチタッチディスプレイは、2014年に発表、2015年に発売されたApple Watchで先に採用されており、また2016年のiPhone 7以降のホームボタンも、圧力を検知して押し込まれたと判断し、TapTicエンジンによる感触フィードバックを返す方式になりました。

 とくにiPhoneのホームボタンは使用頻度も高く、物理的なボタンが効かなくなる不具合に見舞われることも多かったため、物理的に動かず、しかし押し心地があるボタンとして実装された点は、非常に秀逸だった、と振り返ることができます。

 押し込めるようになったスクリーンですが、例えばサブメニューを表示させたり、リンク先を開かずにプレビューしたり、通知の省略表示を展開したり、といった活用方法が充実しました。しかしiPhone SEやiPhone 6など3D Touchに対応しない機種が共存する以上、あらゆるアプリが押し込める前提でUIを作り込んだり、押し込む加減でコントロールするゲームを作ることはできませんでした。

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