デジタル決済で縦横無尽のStarbucks
Starbucksは2012年中に、デジタル決済という面で様々な動きを見せました。おそらくスマートフォンを使って、米国内で最も多様な支払方法を提供している大規模チェーンと言えるでしょう。AppleがiOS 6で提供を介したPassbookにもきちんと対応しています。
まず、iPhone向けのアプリをインストールし、アカウントを作成すると、アプリがStarbucks Card(プリペイドカード)として利用できるようになります。クレジットカードでチャージでき、レジでスキャンしてもらえばドリンクを買えます。このバーコード部分と残高表示をPassbookに取り込むことができ、いちいちアプリを開かなくても簡単に見せて決済できるのです。
アプリによる決済のインセンティブはポイントです。1杯のドリンクで1ポイントたまり、5ポイントになるとグリーンレベル、12ヵ月以内に30ポイントをためるとゴールドレベルになります。グリーンレベルでは、お店にいる間はドリップコーヒーやアイスコーヒーのおかわりが無料、ゴールドレベルでは12杯ごとに1杯無料、という仕組みです。
さらに、スマートフォンすらスキャンしなくても済む方法にも対応しました。Squareへの対応です。Squareはもともと小型のカードリーダーでiPhoneやiPadを決済端末にすることができるサービスで、小規模店舗や個人による決済、あるいはフリーマーケットやフードトラック(屋台)などの屋外の店舗でクレジットカード決済を行うことができるサービスでした。そのSquareが2012年に提供し始めたアプリがSquare Walletです。
Square Walletは名前の通り、個人向けの「おサイフ」サービスです。あらかじめアカウントにクレジットカードを紐付けておき、GPSを利用して店舗やレストランにいることを確認。食べ終わって支払いするときに、アプリ内で画面をスワイプするだけで決済できるという仕組みを提供しています。慣れてくると自動決済をONにしておけば、ウエイトレスに本人の名前を告げるだけで決済ができます。
またアプリを開くと、Squareで支払えるお店がリストされ、お店からのサービスも一目で分かります。おサイフがおすすめのお店を通知してくれる、そんな状態が出来上がっているのです。
Starbucksは2012年8月、Squareに2500万ドルを出資しました。コーヒーを買うときに、好みのドリンクのカスタマイズと名前を告げるだけで決済が済んでいる、という仕掛けを作り上げようとしています。