ギフトカードで気付くプラットホーム活用と
未来のカフェのスタイル
本連載の第1回では(関連記事)、iPhone 5がNFCにまだ対応しない理由として、スーパーマーケットの壁に掛けられている大量のギフトカードの写真をご紹介しました。もちろんその中にはStarbucksのギフトカードも含まれています。「ギフトカード」と言うからには、誰かに贈るためのカードですが、StarbucksのアプリもSquare Walletも、ギフトカード機能に対応しています。
特にStarbucksのアプリでは、本物のギフトカードさながらに、カードのデザインを選ぶこともでき、デジタルギフトとして非常に高い体験をもたらしてくれます。また、Facebookの友人にギフトを贈ることができる「Facebook Gifts」にもStarbucksのギフトカードがデジタルギフトとして用意され、5ドル、10ドル、25ドルの金額を贈ることが可能です。
こうして見ると、Squareをのぞいて、Starbucksのデジタル対応はバーコードで読み取らせるギフトカードをベースとしたものであることがわかります。プラスチックのカードだけでなく、スマートフォンのアプリ、Passbook、Facebookにおいても、ギフトカードを発行するようになっただけです。
だとすれば、StarbucksがSquareに投資した理由も分かります。Squareが提供する、現金もクレジットカードもスマートフォン画面のバーコードも必要ない決済のスタイルは2~3歩先の未来を描いているように見えます。NFCをジャンプして、位置情報とネット接続、実際にその場所にいるお客さんという、リアルに近い照合を行う未来への投資と位置づけることができるからです。
Squareでは誰がお店に来て、支払いをしようとしているのかが分かります。多くの独立系のカフェで採用されているように、StarbucksのレジがすべてiPhone、iPadで済んでしまう可能性も高いのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura