複数ユーザーで錠前の共有も可能
冒頭でIoT系錠前の特徴は、一対一ではなく、多対多を実現できることを紹介した。
実際にNokeでは、Noke南京錠の管理者が共有相手を複数設定できる。そしてその共有者がどんな時間帯で解錠できるかなどの条件を細かく設定できる。
設定が終われば、Nokeの管理者はアプリから招待メールを送り、その共有候補者が、アプリをダウンロード、インストールして設定が終了すれば管理者と同様、設定条件に見合った形でNokeを利用可能となる。
もちろん、Nokeは管理者も共有利用者もその解錠ログはクラウドサービス上でGPS記録管理され、解錠された時間と場所も地図上で見ることも可能だ。
錠前の電池が切れたら……解除はできるが結構大変!?
Nokeはすべてが非電気系のメカニカルな構造物ででき上がっている製品ではないので、内部にバッテリーを搭載し、そのエネルギーでスマホと交信して最適の動作を行なうように設計されている。
内部のボタン電池はNoke本体が解錠されている時に限り、裏フタを少し回転させ開き、内部のボタン電池であるCR2032を交換可能だ。
素人の筆者が見た限りにおいては、構造的にもしっかりと作られており、解錠時とは言え回転させるフタも容易には開かなかった。
また運悪く、施錠のまま内部のボタン電池が完全に尽きてしまった場合はかなり厄介だ。Nokeはそんな非常事態にも“Jump Start”という当初からの計画的な解決手段が用意されている。
ちょっとトリッキーだがその方法は、Noke底面のプラスチックキャップをコインなどで開けて、露出した2つの金属端子に、内蔵ボタン電池と同じモノのマイナスとプラス部分を絶妙の角度で押し当る。
そして通電している間に、そばにあるスマホで解錠するか、アクロバティックにモールス信号を送るという離れ業をこなせば解錠できる。
自転車のロックに1万円超は厳しいかもしれないが……
Nokeはまだまだ日本国内市場での実用的な錠前としての実力や実績は評価されていないこともあり、これ一個だけで大事なプロパティを守るという環境で使うにはかなりの度胸が必要かもしれない。
やはり伝統的かつ歴史的な信用を要する物理的セキュリティービジネスへの参入はクラウドファンディングのみの商品開発ではなく、長年に渡る錠前ビジネスの専門企業と協業した形が一般的には浸透しやすいだろう。
筆者が購入したNokeは1万2960円。一方、ウェブ通販でも簡単に手に入る自転車の盗難防止錠は500円から売られている。価格的な観点では単に自転車の盗難防止だけでNokeを購入するのは厳しいだろう。
しかし、防衛能力がまだ見えない今は、自転車の錠前や物入れの開閉禁止錠としてスタートするほうが気分的には楽なのもまた事実だ。さて読者諸兄はNokeをまず何に活用されるだろうか?!