店頭では格安スマホも少数派に
過去数年の売れ筋スマホを筆者自身の書いた記事やメモなどをもとに振り返ると、2011年にスマホゲームの「アングリーバード」がきっかけでスマホ普及がすすみ、2012年はZTE(中興通訊)、ファーウェイ(華為技術)、Coolpad(酷派商城)、レノボ(聯想集団)の漢字の頭文字をとり「中華酷聯」の4メーカー製品がキャリア会社と提携したコスパの良さで売れた。
その後、Xiaomiが売れてきて、性能もそこそこにコストパフォーマンスの高い製品が注目を浴びた後、ファーウェイの「honor」が売れ、今年は加えてOPPOやvivoなどの付加価値のついた製品が売れた。
気づけば、かつて人気を博した1000元(約1万6000円)スマホは店舗で少数派となり、2000元(約3万2000円)以上の製品が当たり前となった。中国人の財布事情がよくなったというのもあるが、メーカーの高価格製品を販売したいという側面もあるのだろう。
NFCと曲面ディスプレーがトレンド
このように2016年の傾向と、これまでの傾向から見たうえで、今年はどんなスマホが売れ筋となるのか予想する。去年はOPPOが売れたが、だからと言ってOPPOが首位を維持するとは思えない。それほどまでにOPPO R9は目立っていた。
先ほど書いた通り、主に買い替えニーズとなる。中国では1年ちょっとでスマートフォンを買い替える。
これは世界で最もスマートフォンの買い替えサイクルが早い国と言われる。画面が大きくなったとか、クアッドコアになったとか、5インチになったとか4G対応とか、急速充電できるとか、そういった付加価値があると買い替えやすい。
5Gは買い替えるための仕掛けのひとつではあるが、5Gは2020年の商用化を目指しているので、まだ先の話だ。
写真が綺麗に撮れるのは絶対条件。しかし美肌をすべて求めるわけではない
現実的な買い替えのキーワードとして本命と思うのが「NFC」だ。中国で見かけるクレジットカードの「銀聯」(UnionPay)にNFC対応した「閃付」が登場した。
一部都市の地下鉄やバスでNFCが採用されているが、今後さらに採用する都市が増えるだろう。バスや地下鉄でNFCが採用されて、結果市民にとって「お得で便利で(エコシステムのおかげで)楽しい」となれば、買い替えるきっかけとなる。これが普及すれば、もう一度スマホを買い替えるきっかけとなる。
曲面ディスプレーも可能性がある。見せるものはステータスアイテムであり、メンツがかかるものであり、曲面ディスプレー採用機なら、成功した自分を見せられる。
売れそうな要素ではあるが、一方で、家庭の経済面が問題ないことを示すメンツアイテムがテレビで、ブラウン管テレビから液晶テレビには一気に移ったものの、曲面ディスプレーテレビがそれほど売れていない。
またはXiaomiなどが、急速充電、よいカメラユニット、音を強化といったトレンドを詰め込んで、搭載した製品を今は少ない1000元のレンジの価格帯で投入するとインパクトがあり、消費者は心動かされるかもしれない。
製品の良さだけでは売れない。メーカーがどのような付加価値をつけたかをわかりやすく訴える広告がカギとなる。