■クラウドとエッジの両側から攻める
グーグル・クラウド・ジャパンの大藪勇輝マシンラーニングスペシャリストは「Edge TPUはモバイル用途での需要が期待できそう。将来的に4Gから5Gネットワークに移行するが、セルラーネットワークにデータを送ることで、反応が低遅延になってしまう。ここがもったいないので、すぐにデバイスに処理を返したいというニーズにマッチする」と語る。
IoT機器側のセンサーなどで受け取った情報を、ネットワークに上げた後、クラウドで処理して、そのデータをさらにダウンロードするというやり方ではどうしてもネットワーク上を流れるために「遅延」が発生してしまう。その遅延がもったいないため、IoT機器側で処理できるものは処理してしまおうというのを「エッジコンピューティング」と呼んでいる。
将来的には自動車の遠隔運転などをする場合には、わずかの遅延が事故の原因になりかねない。そこで自動車にセンサーやカメラを載せ、高速に処理したいものは自動車に近い基地局などで対処し、それ以外の情報のやりとりは4Gや5Gネットワークを経由してクラウドで処理するというやり方が検討されている。こうした動くものに対しての処理を「モバイルエッジコンピューティング(MEC)」という。
大藪氏は「4Kで撮影された映像などはカメラからネットワークに転送するが、処理はエッジ側で行なってしまい、推論は小さいサイズにして返してあげられるようになる。結果、ユーザーエクスペリエンスが上がることが期待できる」という。
グーグルといえばクラウドの会社というイメージが強く「Google Cloud Next」もクラウドを中心としたイベントのように見えた。
しかし今年感じたのは、グーグルは全方位的に攻めていくという気合だ。