松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

iPhone 8 PlusからiPhone XRに乗り換えるべきではない? (2/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2018年10月30日 09時00分

●iPhone 8 Plusが最も大きなボディーを持つ

 iPhoneの歴史はディスプレー拡大の歴史でもありました。2007年発売のiPhone初代は3.5インチで登場し、iPhone 3GSまでの3年間、同じディスプレーサイズを守りました。

 2010年に登場したiPhone 4は、画面サイズは同じでしたが、ドットの細かさを高めたRetinaディスプレーを採用しました。たしかにあのときは、見たこともないような精細さに驚かされました。

 2012年にはiPhone 5を投入し、横幅を維持しながら縦に伸ばした4インチを実現。2016年に発売し、2018年9月にアップル経由の新規販売から姿を消したiPhone SEまで、4インチRetinaディスプレーのモデルは6年間維持されました。

 2014年に4.7インチ、5.5インチのiPhone 6シリーズを発売し、中国でのハイエンドスマートフォン市場の急速な立ち上がりをとらえたことで、iPhoneの販売台数は急激に伸びます。iPhone 6sシリーズ、iPhone 7シリーズ、そして昨年のiPhone 8シリーズまで4世代を、2つのサイズで駆け抜けました。同時に2017年は5.8インチという特別なiPhone Xも投入されました。

 2018年は画面サイズという要素でいえば4年ぶりの変革となります。しかしこれまでは画面のインチ数の拡大につれてインチ数が大きくなっていきましたが、「オールスクリーン」というデザインによってその傾向が変わりました。

 5.8インチのiPhone Xが登場した際、端末サイズを「iPhone 8とiPhone 8 Plusの中間、かつiPhone 8寄り」と表現しました。しかし今年、6.1インチのiPhone XR、iPhone XS Maxは、いずれもiPhone 8 Plusよりも小さな端末サイズにおさめています。

 4インチのiPhone SEから6.5インチのiPhone XS Maxまで並べてみると、2018年の新モデル3機種は、縦の長さで比べると、iPhone 8とiPhone 8 Plusの間に位置することになります。iPhone XS Maxは横幅も、iPhone 8 Plusより小さくなっています。

 つまりアップルは今年、iPhone 8 Plusが最も寸法の大きなボディーを持つスマートフォンになるよう調整してきた、ということが分かります。

アップルのウェブサイトから、iPhone各モデルの高さを比較してみた図。2018年モデルはiPhone 8とiPhone 8 Plusの間に収まっていることが分かる

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