●それでも懸念は残る
アップルは2017年のiPhone X投入で、平均販売価格の上昇にこだわり、スマートフォン市場全体の需要減、マイナス成長の時代への備えを万全に整えてきました。
2018年通年の決算では、販売台数を維持しながら売上高を大幅に高める結果として、その成果が現れています。今後販売台数の維持が難しくなり、減少していくことを織り込んでいるのです。
アップルは対策を済ませましたが、他のスマートフォンメーカーは現在でも薄利多売、あるいは赤字の状態で販売を続けていることを考えると、厳しくなっていくばかりでしょう。
またアップルにパーツを納入しているサプライヤーは、高付加価値ビジネスへ移行できず、やはりiPhoneの製造台数に応じた売上のビジネスを脱することができないため、アップルと付き合っていてもスマートフォンの低成長時代に売上を伸ばすことはできないでしょう。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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