●Face ID、AR、VR──用途はさまざま
2019年になるのか、さらに先になるのか現段階では分かりませんが、ニューラルエンジンを備えるMacの登場により、今まで指紋を使ってきた生体認証を、iPhoneやiPadと同様の顔認証、Face IDに切り替えられるようになります。
MacのFaceTime HDカメラを用いた「デスクトップAR」の実現も視野に入ります。アニ文字(Animoji)、ミー文字(Memoji)、FaceTime中の装飾などはもちろん、アプリによっては顔の表情でコントロールしたり、ジェスチャーを受け付けるようになったりするでしょう。ARやVRの開発環境でも、より実行環境に近い形でのシミュレーションを実現できるようになるはずです。
重要なのは、Macにとって大きな優位性を与えることができるようになる点です。近年のMacは、その古風なスタイルや、ゲーミングPCに押され気味のパフォーマンスから、見どころに欠けていました。
すでにT2チップによって強力なセキュリティーという優位性を、特にエンタープライズ市場に対して与えていますが、その領域がクリエイティブ、機械学習技術者、サイエンティストへと広がっていくことになれば、Macのブランドは急速に再構築されていくことになるはずです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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