松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル定額配信ラッシュ ねらいは? (2/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年03月28日 09時00分

●サブスクリプションはネット以外の文化の力

 アップルが今回発表したサブスクリプションサービスは、

1. 米国で300以上の雑誌を9.99ドルで読み放題にできる「Apple News+」
2. App Storeアプリで100本以上の専用ゲームを遊び放題で楽しめる「Apple Arcade」
3. アップル TVアプリからアプリダウンロード不要で専門チャンネルを楽しめる「Apple TV Channels」
4. 著名クリエイターが集い制作したオリジナル番組が楽しめる「Apple TV+」

 の4つでした。

 共通点は、App StoreやiTunes Podcastsと異なり、アップルが声をかけた既存のコンテンツクリエイターや出版社による作品に特化していることです。

 App StoreやPodcastsは開かれたプラットホームをアップルが提供し、開発者や配信者が自由にアプリや音声コンテンツを作ることができます。App Storeについては販売することも可能です。

 しかし、今回のサブスクリプションサービスは、ユーザーがお金を出して楽しむべき作品を「アップルが」選び、お金を支払っている購読ユーザーに自由に楽しんでもらうための場を提供する、という形式を取っています。

 アップルはジャーナリズムや創造力、文化の力で社会にインスピレーションを与えるというメッセージを発している一方で、自由なビジネスやクリエイションを支えているインターネット文化とは異なる文脈のサービス群であると言えます。

 ただ、繰り返しになりますが、ネットの自由な創造性や文化を前提としたエコシステムでの成長は、オーガニックに実現してきました。アップルのサブスクリプションの裏テーマは、それ以外の領域の変革にある、と考えられるのです。

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