松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルの支配色が強くなった「サブスク」戦略 (4/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年04月18日 09時00分

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●アップルの反論

 アップルは欧州方面での動きも見据えて、ウェブサイトにSpotifyへの反論を掲載しています。論点となっているポイントを挙げます。

・ アップルはSpotifyアプリを無料で3億ダウンロード以上配信しており、CarPlayやAirPlay 2など、プラットホームに深く入り込む技術的な対応について、他の開発者と同様に扱っている。
・ 無料アプリ開発者が受け取っているメリットを、有料課金アプリで得ようとしている。
・ 1年以上経過したユーザーからの手数料が15%に下がることに言及していない。
・ Spotifyの大部分の無料ユーザーについて、アップルへの支払い義務がないことに言及していない。
・ Spotifyは携帯電話事業者とともに有料ユーザーを獲得しているが、そうした事業者に手数料を支払っていることに言及していない。
・ Spotifyに著作権使用料の支払増額を求めた米国著作権ロイヤルティ委員会(CRB)の決定を受けて、Spotifyは音楽クリエイターたちを告訴した。

 アップルはSpotifyが、プラットホームとエコシステムにただ乗りしようとしている点、また音楽の新しい聴き方の普及ではなく自分たちの利益を追求しようとしている姿勢を批判する内容となっています。

 こうした主張がどのように働くのか、引き続き経緯を見守る必要がありますが、アップルとしては、共通のルールの中でプラットホームを提供しているのに、その整備してきた労力を侵害するな、という主張です。

 ただし、だからといって、iOS標準のミュージックアプリと、サブスクリプションサービスであるApple Musicが統合されている部分が変わる訳ではありません。ユーザーのためにはなっても、競争上は問題視される可能性がある、というわけです。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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