中国の深セン市といえばスマホのアクセサリ問屋があるなど「世界の工場」を体感できる街。しかし、ここには多くのIT系企業も進出しています。なかでも、ハイテクパークと呼ばれるエリアには、スマホやPC系メーカーからスタートアップ企業まで多数の会社が集まっているのです。いわば中国のシリコンバレーとも言えるそのハイテクパーク、ぶらり歩いてみました。
レノボ、フィリップス、ZTE……
大手企業のビルが建ち並ぶ
深セン・ハイテクパークは電脳街から地下鉄で20分ほどの場所にあります。駅名もそのまま「Hi-Tech Park」、わかりやすいですね。この駅を中心として大小さまざまなビルが立ち並んでいます。
駅の出口Dを出てすぐの交差点に立ってみると、目の前に巨大なビルがどーんと立っています。TCLグループの深センの総本山のようです。TCLといえばアルカテルスマホの開発と製造を行なっていますが、ほかにもTVや家電などさまざまな製品を手がけています。本社や工場は深センから1時間ほどの恵州市にあるのですが、深センのシリコンバレーにも拠点を構えるメリットが大きいということなのでしょう。
TCLビルの手前側にはDesayの名を掲げたビルがあります。同社は自動車関係からスマホを手掛ける中国でも有数のメーカー。スマホは自社ブランドよりもODMやOEMを得意としています。アジアあたりの無名メーカーのスマホが同社製、なんてこともよくあります。
ハイテクパーク全体を歩くと半日では回りきれないので、今回は駅周辺の大きいビルをいくつか探索。ちょっとした案内板が道路にあったので見てみると、有名企業の名前がいくつも書かれています。中国語表記なのでパッと見るとわからないかもしれませんが、この後の写真を見ればどんな企業なのかすぐにわかるでしょう。
TCLのビルに繋がるように並んで大きな建物を構えているのが中国のTV最大手のスカイワース(Skyworth)。実は同社もスマホなどを製造しているのですが、最近はあまりぱっとした製品を出していません。本業のTVの競争が厳しいことから、スマートTVの開発に注力しているのでしょう。
訪問した1月中旬は天気があまりよくなくくもり模様。高層ビルも雲に隠れています。スカイワースをさらに進むと奥にいくつかビルが見えてきました。それらに掲げられているロゴを見ればもうどの会社かおわかりですね。左に見える高層タワーはZTE、そして右に見えるビルはLenovoです。
レノボの本社は北京にありますが、ここ深センにあるのは研究所。ここでノートPCやスマホの開発が行なわれているということなのでしょう。ビルの構造は中国ではあまり見ない凝ったつくり。ハイテク企業の研究所ということで、その外観もほかにはないものを目指したのでしょうか?
ビルの入り口にある英語表記は「Legend Recearch & Develpment Bldg」。Legendというのはレノボの昔の英語表記ですね。ってことはこの研究所、かなり昔からここにあるということのようです。そもそも深センが世界の工場として栄えたのも、メーカーの工場が進出しただけではなく各社の研究所もここに集まってきたからなのです。
このレノボの研究所と道路を挟んで向かい側には、SED(桑達電子)のビルが建っています。SEDと聞いてもピンと来る人はいないでしょう。実は同社はフィリップスブランドのスマホの製造販売を行なっています。フィリップスのスマホはアジアやヨーロッパの一部の国で販売されていますが、フィリップス自身は自社での製造開発はかなり前に中止し、このSEDがすべて請け負っているのです。
さて、巨大な摩天楼のようなZTEのビル。その周辺を見ると中層階建てのビルとつながっており、そのビルがさらにほかのビルと連結。かなりの規模となっています。端末では無くネットワーク関連製品まで開発している同社ですから、これくらいの敷地を使うのは当然のことなのでしょう。
これだけ多くの企業が集まっているとバス停がどんな名前か気になります。大通りに面したバス停名は「ハイテクパーク」なのですが、すぐ中にはいったバス停は「レノボビル」でした。やはり歴史が古いことからレノボの名前が使われているのでしょう。でも、バス停の広告はレノボでは無くZTEのスマホ。このあたりは企業の勢いの差が出ているのかも?