やっぱりスマホ新製品に注目! MWC 2017レポート

ファーウェイとボーダフォン、アウディの「コネクテッド・カー」に乗った!

文●スピーディー末岡/ASCII編集部

2017年03月10日 10時00分

 スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2017」(MWC)の会期前日に新端末「HUAWEI P10/P10 Plus」を盛大に発表したファーウェイ。同社は端末だけでなくインフラも手がけていることは有名な話だが、現在はファーウェイとボーダフォンがアウディの協力のもと、コネクテッドカーの実証実験を行なっている。MWCの会期最終日に、このコネクテッドカーに乗車する機会に恵まれたのでレポートしたい。

 実証実験の会場となったのは、バルセロナ市内(MWC会場)からバスで40分ほど走ったところにある「カタロニアサーキット」。F1の開催地としても有名なサーキットであり、当日もF1のテストデイだった。

カタロニアサーキット。当日はウェット路面のテストだったようだが、ご覧のとおり快晴だったので散水車で水を撒いていた

 実験は本コースではなく、サーキット内にあるコンパクトなテストコース。ここで、アウディのSUV「Q7」を走らせた。コネクテッドカーに使用されるのは5G時代に向けた4Gの進化を示す新しい通信技術「セルラーV2X」(C-V2X)だ。この技術により、車両、道路利用者、路側間が迅速な情報交換をすることで、運転、車両の安全性、交通量の管理、道路利用における効率性に大きな変革をもたらすという。

カタロニアサーキット内にあるミニコース

 今回のテストは、今年2月にファーウェイ、ボーダフォン、ボッシュの3社がドイツのA9高速道路で実施した、ITS通信の5.9GHz帯を使った車車間のC-V2X接続に関するトライアルの流れをくむもの。試乗車であるQ7にはC-V2Xのアンテナが実装されており、主に4つのデモを体験できた。なお、周回数は1周、ドライバー付きだったので、自分で運転したわけではない。

アウディ Q7にはこのようなC-V2Xのアンテナが装着されていた

見通し改善

 コネクテッドカー(Q7)のインパネが先行するクルマの映像に差し替わり、他のクルマがどう動いているのか、次の進入路はどこなのかを可視化する。このことで、見通しが悪い道、狭い道、急カーブといった情報を事前に得ることができる。

道を先行するクルマの映像がインパネに表示される。これにより、どのへんに信号機がある、カーブがある、見通しが悪い道があるなどの情報が得られる

信号の警告

 信号が変わりそうになるとドライバーに警告をしてくれる。ドライバーはこの警告を受けて、スムーズな減速が可能になる。今回のデモでは前走車が赤信号で止まったときに警告を出してくれるので、余裕を持ったブレーキングで対処できていた。

乗ったのが後部座席だったので、わかりづらくて申し訳ないが、信号(右)が変わって前走車がスローダウンするとインパネに警告が出る

歩行者の警告

 前方で歩行者が横切ろうとするとセンサーが検知し、ドライバーが目視するよりも早く警告を発してくれる。このことで、突然の飛び出しなどによる人身事故を減らすことができる。

頭にアンテナがあってシュールな絵だが、歩行者と見立てたマネキンに通信モジュールが装着されて、クルマと通信している

人からの電波をキャッチして、インパネに警告を表示する。急な飛び出しに対応できるかもしれない

緊急ブレーキ

 他のコネクテッドカーが急停止や車線変更をするかどうかをアルゴリズムで判断し、もしそれらの動きがありそうな場合は警告してくれる。前走車の急ブレーキを回避、もしくはこちらも急ブレーキをする際に役立つ。

目の前で起こる(起こりそう)なアクシデントを回避しやすくなりそうだ

 今後の移動体通信システムの進化を示す画期的なデモであったが、どのクルマに実装していくのか、日本のITS通信で使っている周波数と違う、コストはどのくらいかかるのか、などなど課題も多い。しかし、自動車産業がさらなるステージにいくためにも、世界がひとつとなって進めていく事業なのは間違いない。


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