山根博士の海外モバイル通信

ノキアのノートPCが登場! 8万円で買える14型モデル

文●山根康宏 編集●ASCII

2021年02月15日 12時00分

ノキアブランドのノートPCが発売された

 ノキアといえばスマートフォンや携帯電話のブランドとしてコンシューマーには知られていますが、1年前にスマートTVを発売したことも話題になりました。そして今度はノートPCを発売! ノキアのスマートフォンユーザーならぜひノートPCもノキアのものにしたいものです。

 ノキアのノートPC「Nokia PureBook X14」のスペックは、CPUが第10世代Core i5 10210U、グラフィックスはインテルUHD Graphics 620。8GBメモリー(DD4)に512GBのSSD(NVMe SSD)を搭載。ディスプレーは14型フルHD(1920×1080ドット)で、Windows Hello対応のカメラを内蔵。インターフェースはUSB 3.1×2、USB 2.0×1、USB Type-C×1、HDMI×1、RJ45×1、オーディオ×1と盛りだくさん。本体はマグネシウム-アルミニウム合金で、サイズは320.2×214.5×16.8mm、重量は1.1kg。バッテリーは46.7WHr。OSはWindows 10 Home 64となっています。

14型でCPUは第10世代Core i5を搭載

 IDCによるとインドは2020年第3四半期のPC出荷量が過去7年間で最大の成長を示しており、同期の出荷台数は340万台だったとのこと。特にノートPCを買う消費者が増えています。ノキアのノートPCもこの成長する市場で「Nokiaブランド」をバックに少しでもシェアを取ろうと考えているのでしょう。

 とはいえNokia PureBook X14はノキアが製造・販売しているのではありません。スマートフォンと携帯電話はHDM Global社がNokiaのブランドをノキアからライセンス供与を受けて世界展開しているように、Nokia PureBook X14はインドの大手EC、Flipkartがライセンスを受け、製造はノートPCのOEM/ODM大手のTongfang社が担当しています。そのためNokia PureBook X14はインドのみで売られているのです。価格は定価が90000インドルピア(約13万円)ですが、販売記念価格は59990インドルピア(約8万6000円)となっています。

インドのECサイト、Flipkartのみで販売される

 ノキアブランドのノートPCは古くからのノキア好きならちょっと気になる存在でしょうが、実はこれが初めてではありません。2009年にノキアは「Nokia Booklet 3G」で一度ノートPC市場に参入しています。ノキアの製品らしく、HSPAモデムを内蔵しSIMカードを入れればどこでも通信できることを売りとしていました。CPUはAtom Z530、1GBメモリーに120GBのHDD、ディスプレーは10.1型(1280×720ドット)といった構成です。

Nokia Booklet 3G。ネットブックと同じ系列の製品だ

 当時はiPhoneとAndroidが生まれた直後で、ノキアはスマートフォンと携帯電話のシェアで堂々の1位。スマートフォンOSシェアでもノキアが採用するSymbianは2008年に52.4%と圧倒的な強さを見せていたのです(ガートナー調査)。

 ノキアとしてはアップルやグーグルの力が急激に伸びるとは考えておらず、むしろSymiban OSスマートフォンの活用範囲を広げるために小型で持ち運べるノートPCを投入し、モバイル市場でリードを広げようと考えていたのかもしれません。ちょうど2007年にASUSが「Eee PC」を発売し、小型・格安の「ネットブック」が各社から登場し人気製品となりました。Nokia Booklet 3Gが発売されたのはネットブックブームの真っただ中だったのです。

 しかしネットブックは後から出てきたiPadやAndroidタブレットに使い勝手で劣ってしまうなど、中途半端な存在に終わり、わずか5年でブームは終了します。そしてノキアのBooklet 3GもPCメーカー相手には勝てず、失敗に終わってしまいました。

 Symbian時代(そしてWindows Mobile時代)のノキアや、Booklet 3Gを覚えている人はもはや少なくなりました。しかし、ノキアのブランドそのものは今でも多くの国で知られた存在です。2021年に発売されたNokia PureBook X14は、新しい時代のノキア製品として、インドの消費者に愛される存在になるでしょう。グローバル展開はなさそうですが、ぜひ定期的に新製品を投入し続けてほしいですね。

山根博士のオフィシャルサイト

「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!

 長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!

 「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!

→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む

ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

mobileASCII.jp TOPページへ

mobile ASCII

Access Rankingアクセスランキング