佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド

iPodがついに終焉、ウォークマンとの対比でそのインパクトを思い出す (1/2)

文●佐々木喜洋 編集●ASCII

2022年05月16日 13時00分

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 先週アップルが「iPod touch」を在庫限りで販売終了するというリリースを発表した。

最後の世代になった2019年発表のiPod touch

 これによって2001年から20年以上続いたiPodの歴史が終焉を迎えたことになる。これを機にiPodがなしたこと/なせなかったことを考えてみたい。これは実はソニーそれの裏返しでもある。

MP3やDRMフリーの流れを作り、業界に変化を促した

 iPodがなした最も大きなことは、MP3という日陰の存在を日の当たる場所に導いたことだ。これはオーディオの音源を物理メディアからファイルに変えた。また「iTunes Music Store」を生み出す原動力になり、音楽業界を根本的に変えてゆく。

 当時のソニーは、音楽コンテンツに対する権利をグループ内で多く抱える立場ということもあり、DRMの仕組みがないMP3に対しては積極的ではなく、この新しい動きに乗り遅れてしまう。そんな中、ウォークマンではなくVAIOのブランドで展開した「VAIO Pocket」(2004年)は歴史に埋もれてしまったが、中々優れたデジタルプレーヤーだった。オーディオメーカーのソニーらしく単体での音質はiPodよりもずっと良かった。しかし、iPodにはこうしたほかのデジタルプレーヤーにない特徴があった。それは30ピンのDockコネクターによる拡張性である。

 ライン出力でつなぐDockスピーカーなどが数多くの周辺機器が登場した。後にLOD(Line Out Dock)と呼ばれるアクセサリーを用いてポータブルアンプを接続すれば、より高音質なヘッドホン再生ができ、現在に連なるポータブルオーディオの流れを作ることに貢献した。

ALOのLOD

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