アップルのARグラス「Vision Pro」でスマホの次がハッキリ見えた! 「WWDC23」特集

“空間コンピュータ”を実現する「Apple Vision Pro」発表 これまでのAR/VRデバイスにない革新性

文●ASCII

2023年06月06日 06時45分

 アップルは、同社初のARヘッドセット「Apple Vision Pro」を発表。2024年初頭に発売する。米国での価格は3499ドル(約50万円、税抜)。米国以外では2024年後半に販売を開始予定。

外の空間と切り離さない工夫が多数
ヘッドセットを着けたまま生活や仕事も可能!?

 Vision Proを、アップルは「空間コンピュータ」と実現。すでに各社からリリースされているAR/VRヘッドセットと似たスタイルや機能を持つ部分もありながら、その内容はまさに革新的と言っていいものになっている。

 その理由が、外部の世界や人物と切り離されていない空間が実現されている点、特に着用者を外側から見ても目やその動きが見える点、ヘッドセットを付けた状態だけで、コントローラーなどを持たずに目や手、指先だけの自然で直感的な操作が可能な点、などが挙げられる。

 たとえば、コンテンツを楽しんでいる場合でも、視界一杯に表示するか、周囲の状況をどのくらい表示させるかを決められるほか、視界一杯に表示している状況で、誰かが話しかけてきたときはその人が自動で表示される。また、ユーザーが外部が見られる状況にある場合は、着用者の顔がヘッドセットを通じて見えるようになり、外から見たときの得体の知れなさを軽減させている。

 なお、このユーザーの顔はグラス部分が半透明になって見えるのではない。ユーザーの顔データに基づいて作られたアバターのグラフィックを表情や動きの変化を認識して、グラスの外側に向けられたディスプレーに表示するという高いレベルの技術が用いられている。

 このアバターはビデオ会議でも利用可能。FaceTimeのほか、Zoomなどの対応アプリにおいて、ヘッドセットを着けたままでもユーザーが本当に話しかけるかのような自然な動きをアバターで再現するわけだ。

 操作については、グラス内部のアイトラッキングカメラで視線の動きを判断してカーソルを移動できるほか、本体下部のカメラで指の動きを認識。ジェスチャー操作を可能にする。文字入力については音声入力のほか、Magic Keyboardにも対応している。

 Vision Proでは外側に向けられたカメラでは、3Dの写真や動画の撮影が可能。音声も空間オーディオに対応しており、Vision Proで再生することで、いつでもそのときの雰囲気をリアルに再現して楽しめる。なお、録画中であることが相手にもわかるように、その際はグラス部分のライトが点灯するようになっている。

M2に加えて、リアルタイム処理に特化したチップも搭載
新しく対応したアプリ以外にiPhone/iPadアプリも動作

 こうした極めて高度な機能を実現するため、本機にはMacBook Airにも採用されている「M2」のほかに、リアルタイム処理に特化した「R1」チップを搭載。12のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクからの入力を処理し、たとえば前述のヘッドセットへの顔画像表示では目のまばたきより8倍高速な12msの遅延に抑えられている。

 ディスプレーはmicroOLEDテクノロジーにより、切手サイズの2つのパネルに2300万画素と、4Kを上回る解像度を実現。視力矯正が必要なユーザー向けにレンズを追加することにも対応している。バッテリーは外付けで約2時間動作。電源の直接入力も可能。

 対応アプリは、Vision Proに搭載されるvisionOS向けに開発されたものほか、iPhone/iPad用についても動作し、ウィンドウ内で表示できる。また、Apple Arcadeでは100以上のゲームも用意されるとのことだ。

 発売は少し先で高価な製品ではあるが、その先進性はこれまでのAR/VRヘッドセットにはなかったもの。実際の製品発売が待たれる。

 

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