アップルは9月12日(現地時間)、秋の新製品発表を「Steve Jobs Theater」で実施した。今年もアメリカ・アップル本社へと取材に来ている。
どの製品がいいのか、買うのはどれか、迷ったり噂したりするのが楽しい時期でもある。その中で、筆者が今年感じたのは「やっぱりアップルは、圧倒的量産を力にして攻める会社なのだな」という点だ。そうした部分を軸に、今回の発表で感じたことを解説してみたい。
「チタン」に見える量産の力技
ガジェット的興味で言えば、今回のiPhoneで注目は「チタン合金」と「USB Type-C」だろう。
iPhone 15 ProとPro Maxでは、フレームにチタン合金が採用された。ハンズオンイベントで実機に触れることができたが、かなり感触がいい。
まず、軽い。
iPhoneの重量のうち、フレーム部分は15%から20%を占める。14 Proまで使われていたステンレスは光沢感が魅力だが、素材としてチタンよりも重い。結果として、各モデルで19gずつではあるが、iPhone 14 Proシリーズよりも軽くなっている。サイズ的にははるかに(1mm程度だが)小さくした上で軽くなったのは大きい。実機を持ち比べるとすぐにわかるくらいの軽さだ。
そして、堅牢。堅牢さを活かして若干薄くすることで、ディスプレーのベゼルは明確に細くなった。
チタン合金を大々的に、マスに売るプロダクトに使うのは大変だ。特にiPhone 15 Proシリーズの場合、内部にはアルミのフレームもある。両者をうまく組み合わせ、しかも修理しやすさにも配慮したボディを作るには、相応の量産技術を用意する必要もある。
もちろん、素材や加工技術の協力会社とともに実現することではあるが、そういう部分にコストをかけられるのは「たくさん売る、強気の商売」だからでもある。
逆にいうと、「超たくさん、一気に量産して流通させる」ことができなければアップルは採用しない。二つ折りをまだ出さないのはその部分も大きいだろう。チタン合金採用は、生産性と先進性のバランスが「アップル的にとれた」からだろう。