PCやAI関連製品で賑わった今年のCOMPUTEX TAIPEI 2024。スマートフォン新製品の展示もいくつか見られた。そこで、会場で見つけた日本にはない海外向けのスマートフォンや5G製品を紹介しよう。
中国の新興スマホメーカー「TECNO」が
デザインスマホを発表
TECNOはCOMPUTEX TAIPEI 2024に合わせてスマートフォン新製品「TECNO CAMON 30 Series LOEWE. Design Edition」を発表した。ベースモデルとなる「CAMON 30 Premier」は2月に発表されたTECNOのハイエンドモデルで、チップセットにMediaTekのDimensity 8200 Ultraを搭載、カメラは5000万画素の広角・超広角・3倍望遠という組み合わせ。フロントカメラも5000万画素とカメラ性能も高い製品だ。
背面はコーヒーの抽出後に余剰となる粉、いわゆる「コーヒーかす」を再利用している。製品1台あたり、約0.8gのコーヒーかすが使われており、バックカバーの素材の約25%に利用されている。この素材は紫外線耐性、温度耐性、湿度耐性も備えており、高級感ある手触りも実現している。デザイン性と環境対策を両立しているわけだ。
ベースモデルもグラデーションを施した背面仕上げにするなど、全体的に高級感を持たせている。インドやアフリカ、東南アジアの一部の国で販売されており、LOEWE. Design Editionもフィリピンなどで発売予定とのこと。
すでに技適取得済みで日本に来る可能性大!
ASUS「Zenfone 11 Ultra」
ASUSブースでは海外ですでに販売中の「Zenfone 11 Ultra」が展示されていた。Snapdragon 8 Gen 3を搭載するハイエンドモデルで、日本では5月に発売となった「ROG Phone 8」シリーズと基本性能を共通化したモデルだ。
前モデル「Zenfone 10」より本体は大型化しており、ディスプレーサイズも6.8型と最近のハイエンドモデルと同等となった。バッテリー容量は5500mAhで65Wの急速充電に対応している。
本体のカラバリ4色のうち、Desert Sandは日本の鳥取砂丘にインスパイアを受けてデザインされているという。背面の幾何学模様のデザインは2019年のASUS 30周年時に作られた「'A' monogram」で、同社のノートPCの天板などにも採用されているおなじみのものだ。
メインカメラにはレンズが動く物理的なジンバル「6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー3.0」が搭載されており、強力な手振れ補正機能を持つ。
Zenfone 11 Ultraは日本では発売されていないが、過去モデルの実績を考えると近いうちに投入されることが期待される。なお、展示されていたのはグローバルモデルであるが、技適は取得済だった。
ROG Phone 8の場合もグローバルモデルですでに技適を取得、日本投入モデルはFeliCa搭載となった。Zenfone 11 Ultraも日本向けモデルにはFeliCaが搭載されると思われる。
AI機能に優れたカメラフォン「vivo X100 Pro」
COMPUTEX TAIPEI 2024に合わせてMediaTekが行なったプライベートイベントでは、同社のハイエンドスマートフォン向けチップセット「Dimensity 9300」を搭載したモデルを展示するとともに、AI機能などの説明がなされた。vivoの「X100 Pro」は同社のフラッグシップモデルとしてヨーロッパやアジアでも販売されている。
カメラは5000万画素を3つ搭載。広角はソニーの1インチセンサー「IMX989」を採用、望遠は4.3倍のペリスコープを搭載している。バッテリーは5400mAhで100Wの有線充電に加え、50Wの無線充電に対応。有線無線、どちらでも急速な充電が可能だ。
X100 Proのカメラ性能はDxOMarkではグローバルで11位にランク付けされているが、夜景や望遠の撮影性能は他社をしのぐとの声も聞かれるほどだ。100倍ズームを試してみたが、AIによる輪郭補正もあり結果は良好だった。
産業向けにも5Gスマホが登場する理由は?
COMPUTEX TAIPEI 2024にはリテール向けのハンディー端末なども多く展示がされていた。その中でも目立っていたのが5G対応を売りにする製品だ。UnitechのハンディーコンピューターはOSにAndroidを採用したスマートフォンそのものであり、Wi-Fiに加え5Gにも対応する。
このクラスの製品は防水防塵や耐落下性に優れた強靭なボディーを採用しており、本体にはバーコードスキャナなども搭載されている。倉庫や現場などで使われることも多く、手袋をはめたまま操作できるグローブモードなどにも対応する。
QRコードをスキャンして送信する程度ならば4Gでも十分だろうが、コストのより高い5Gへ対応させるのはPrivate 5G(日本ではローカル5G)の普及が世界的に広がっているからだ。Private 5Gは通信キャリアの回線を使わずに、自前で基地局を立てて敷地内で独自に5Gネットワークを使うシステム。
Wi-Fiルーターを購入して自宅やオフィスにWi-Fiネットワークを構築するのと同様に、Private 5Gでは「基地局を購入して設置して、5G端末を接続」して使うことができる。Private 5G環境下で使うためにも、産業用のハンディーターミナルの5G化が進んでいるのだ。
ちなみに、COMPUTEX TAIPEI 2024では日本のエイビットの関連会社のマグナ・ワイヤレスが出展し、日本のローカル5G向けの基地局「AU-650」を出展た。このようなPrivate 5G/ローカル5G用基地局を購入して自社に設置すれば、あとは5G端末を接続して物理的に使うことができるのである。ただし、Private 5Gやローカル5GはWi-Fiとは異なり、国により免許取得が必要だ。
Wi-Fi 7と5Gを搭載する超高速ルーターをエイサーが展示
Acer(エイサー)は1月に発表したゲーミングブランド・Predatorの「Predator Connect X7 5G CPE」を展示した。単体で通信可能な5Gモデムを搭載し、無線部分はWi-Fi 7に対応している。5GとWi-Fi 6Eに対応したCPEは他社からもすでに販売されているが、コンシューマー向け製品で5GとWi-Fi 7に対応した製品はまだほとんどない。
5G部分は最大下り3.5Gbpsの通信速度に対応する。Wi-Fi部分はIntel Killer Prioritization Engineと互換性があるHybrid Quality of Serviceにより、ネットワーク品質を最大限に引き上げる。接続デバイスに応じて通信速度を最適化することも可能だ。Multi-Link Operationにより遅延速度も1nmを実現できる。