INFOBARの深澤直人がAIとデザインを語る! Nothingが表参道でイベントを開催、限定モデルも先行発売

文●村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII

2024年07月08日 20時00分

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ゲストの深澤直人とNothing CEOカール・ペイが
スマホのデザインについて語った

 Nothing Technologyが「Phone (2a) Special Edition」の日本発売を記念して、7月5~6日に東京・表参道でイベントを開催。初日の7月5日には、Nothing CEOのカール・ペイ氏とプロダクトデザイナーの深澤直人氏によるトークショーが開催された。

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Nothing TechnologyのCEO カール・ペイ氏

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特別ゲストとして登壇した深澤直人氏。INFOBARや無印良品の壁掛式CDプレーヤー、Appleが採用した「HIROSHIMAアームチェア」などで知られる、日本を代表するプロダクトデザイナーだ

 トークショーのテーマは「テクノロジーと愛されるプロダクトデザインとは」。なお、深澤氏はNothingの製品デザインに関わっているわけではないが、日本を代表するプロダクトデザイナーとして、Nothingが特別ゲストとして招いたそうだ。

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Nothing Japanの黒住吉郎氏がファリシテーターを務めた

 まず、テクノロジー製品のデザインについて、深澤氏は「以前はコンシューマーエレクトロニクスと呼び、お客様それぞれのニーズに合うものを作ろうというトレンドでした。数百万売れればよかった時代です。それが2つの大きなOSが台頭し、みんなが同じものを使うようになった。何億人もが同じものを使うわけです。しかし、それではつまらないという波も来ていて、カール・ペイさんがなんとも表現しがたいものを作って、新しい魅力を持ち込んだ。新しい世代ができつつあると感じています」と話した。

 深澤氏の代表作の1つにauのINFOBARがある。今年は、INFOBARを再現したApple Watchケースも話題を集めた。「20年前くらいの製品だがファンも多く、いろいろな方法でコミュニケーションが続いている。そういった楽しいアイデアはこれからも広がっていくのでは」(深澤氏)。

 カール・ペイ氏は「昔に比べると、テクノロジーは面白くなくなっているかも。それを再び面白くするために設立したのがNothing。そして、そのためのツールとしてデザインがあると考えています」と言う。そんなカール・ペイ氏に、強いインスピレーションを与えたというのがソニーのミュージアムの写真。ソニーが作った歴代の製品が展示されている写真で「我々が作った製品も10年後にはこのようにしたい」と思ったそうだ。

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カール・ペイ氏

 「ソニーはエンジニアの夢を叶える会社と聞きましたが、Nothingはデザイナーの夢を叶える会社にしたい。そのため、デザインチームは非常に力を持っているし、だからこそアイコニックなデザインを生み出せる。iOSは非常に人気がありますが、我々はAndroidの中でiOSに対抗できるものを作りたいと考えています」と意欲を示した。

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トークショーはなごやかな雰囲気で進められた

すでにAIがないと何もできない状況だが
AIは人が作るモノだから色んなモノができる

 トークショーの後半では「AIとプロダクトデザインの未来」について語られた。カール・ペイ氏は「将来的なコンピューターの世界をどう定義づけていくかと言うレースが始まった状況。3つの要素が重要だと考えていて、1つはコンピュータが人間のことを知ってくれること。それによってユーザーに最適化した使い方が実現します。次に、ユーザーを助ける存在になること。すでに電気自動車などで、そうした側面が出てきていますが、スマホでも実現していきたい。そして、それらのためにUI、UXも含めてデザインの変化が必要だと感じています」と言う。

 深澤氏は「実は我々はすでにAIにどっぷり浸かっていて、AIがないと何もできない状況だと思います。実態が見えにくいので、不安になる人は多いが、AIも人が作るもの。いろんな人がいるので、いろんなものができる。どれが必要なものかは人間の心で考えていかなくてはならない」。

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新しいテクノロジーが生まれる過程で、ネガティブな意見が生じることも経験してきたという深澤氏。「シリコンバレーでは物を作った人が最初のユーザーとなる。AIも人が作って人が使うもの」と話す

 カール・ペイ氏も「AIによって仕事が奪われるのではないかなど、恐怖や懸念を持つ人はいるでしょう。ですが、AIも人間が使うツールです。AIそのものが目的ではなく、問題解決のための材料に過ぎません。我々は何を作っているのかということをわかりやすく、もっと透明性を持って伝えるべきだと思っています」と話した。

 最後に、黒住氏から2人に「プロダクトデザインに携わっていて、最もうれしかったことは?」という質問が投げかけられた。

 深澤氏は「人が集まって、作っているときが一番楽しい。同じ興味を持つ人が集まって、何かが生まれる瞬間はとても幸せ」と話した。

 それを受けて、カール・ペイ氏は「深澤さんがおっしゃる喜びは私も同じです。しかし、その舞台裏には苦しみもたくさんある。たとえば、キャッシュフローとか、サプライチェーンとか、人材管理とか(笑)。しかし、物理的な製品を作っていると、我々が作ったものを使っている人を見かけることがあります。それは、とても大きなよろこび。日本でも、そういう機会が増えることを期待しています」と話した。

 イベントが開催された「クレインズ6142」(東京都渋谷区神宮前6-14-2)には、Phone(2a) Special Editionの実機が展示され、自由に触れて試すことができる。一般発売は7月8日からだが、会場では100台限定で先行発売され、5日のトークショー終了後にすでに多くの人が購入していた。

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イベントは表参道、キャットストリートにある「クレインズ6142」で開催。Nothingのドットのロゴが目印

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Phone (2a) Special Editionが展示されていて、手にとって試すことが可能

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Phone (2a) Special Editionの先行販売も実施。購入者は若い人が多かったようだ

 ほかに、現在発売中のスマートフォンやワイヤレスイヤホンが展示され、昨年12月から展開したアパレル製品の一部も展示されていた。

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イベント会場の様子

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発売中のNothing製品を一挙展示

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Nothing Apparelのコーナーも

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