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「Xperia 1 VI」は縦横比変更が賛否を呼んだが使い勝手的にはメリットしかない (2/2)

文●佐野正弘 編集●ASCII

2024年07月14日 12時00分

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性能だけでなく冷却機構も大幅に強化

 続いて性能面を確認すると、Xperia 1 VIはチップセットにクアルコム製のハイエンド向けとなる最新の「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載しており、メモリーは12GBもしくは16GB、ストレージは256GBもしくは512GBとなっている(モデルによって異なる)。最近のフラッグシップモデルとしては珍しくmicroSDスロットも備わっており、最大1.5TBまでのストレージを増やすことが可能だ。

 その性能をベンチマークで確認すると、やや低めな感もあるがSnapdragon 8 Gen 3搭載機種と比較してふさわしい性能といえるだろう。主要ゲームのグラフィックも最上に設定して十分快適にプレイ可能だ。

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「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果

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「3DMark」(Wild Life Extreme)のベンチマーク結果

 となると気になるのは発熱であり、とりわけXperia 1シリーズは高負荷時の発熱を指摘する声が以前から多い。だが、Xperia 1 VIはシリーズで初めてベイパーチャンバーを搭載するなど、冷却性能を大幅に強化。AAAクラスのゲーム「原神」のグラフィック設定を最高水準に設定して1時間プレイした場合、Xperia 1 Vでは45度に達していたのだが、Xperia 1 VIでは40度程度にとどまっていた。

 加えて4K・120フレームで動画を撮影し、発熱で終了するまでの時間を確認してみたところ、およそ40分という結果に。もちろん環境や気温に左右される部分はあるが、ベイパーチャンバーが大きな効果を発揮している様子がうかがえる。

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「PUBG MOBILE」のグラフィック設定は「クオリティ」が「ウルトラHDR」、「フレーム設定」が「ウルトラ」にまで上げることが可能

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「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「高」と、ハイエンドに相応しい内容となっている

 ゲームプレイの快適さには冷却性能強化に加えもう1つ、「Game Enhancer」の新機能「FPS Optimizer」の貢献も大きいようだ。これはゲームの描画フレームを中心として、CPUやGPUを最適化する仕組みで、システムレベルで長時間、高いフレームレートを維持できるよう最適化が可能となっている。一方で、本体サイズが変わったことからゲーミング用の周辺機器「Xperia Stream」が使えなくなっており、この点はゲーミング用途を考えると残念な所でもある。

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「Game Enhancer」ではパフォーマンスの調整などが可能だが、「FPS Optimizer」をオンにすれば長時間、安定したパフォーマンスを維持できる

 バッテリーを確認するとこちらは5000mAhと、Xperia Vから特に変わっている様子はない。だが先にも触れた通り、Xperia 1 VIはディスプレーの解像度が4KからFHD+に下がっているのに加え、リフレッシュレートが120Hzまでの固定駆動から、1~120Hzの可変駆動に変化したこともあって、バッテリー消費が大幅に抑えられているのは大きなポイントだろう。

 通信機能に関して確認すると、SIMは物理SIMとeSIMのデュアルSIM構成で、ミリ波への対応は今回も携帯各社から販売されるモデルと、SIMフリーモデルとで対応が異なり、後者は非対応となる。その分SIMフリー版には、携帯各社向けモデルにはないメモリー12GB、ストレージ512GBという独自モデルが用意されるので、ミリ波を取るか独自モデルを取るかで端末を選ぶというのも1つの手だ。

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SIMスロットはnanoSIM×1。裏側にはmicroSDカードを挿入可能だ

【まとめ】一般層にはメリット大の変更だが
ソニーファンには悩ましい

 ディスプレーの大幅な変更が賛否を呼んだXperia 1 VIだが、実際に使ってみるとスマートフォンとしてはむしろ使いやすくなった、というのが正直な所でもある。画面サイズだけでなく、カメラアプリのインターフェースをスマートフォンに合わせたことなどが大きく影響しており、一般的なスマートフォンユーザーの目線からすると、一連の変更はプラスに働いているのではないだろうか。

 ただそれは、これまでのXperia 1シリーズ、ひいてはソニー製品にこだわりを持つ人からすると不満要素にもなりかねないというのもまた確かだと感じる。Xperia 1 VIだけでなく、バルミューダの撤退や、ASUSが「Zenfone 11 Ultra」で大幅にコンセプトを変えたことなどを考えると、非常に厳しい現在のスマートフォン市場環境で強い個性を持つスマートフォンが生き延びるのは非常に難しくなっているといえ、スマートフォンの面白さが減少しつつあるのも気がかりだ。

  Xperia 1 VI
メーカー ソニー
ディスプレー 6.5型有機EL
(19.5:9、1~120Hz)
画面解像度 FHD+
サイズ 約74×162×8.2mm
重量 192g
CPU Snapdragon 8 Gen 3
メモリー 12/16GB
ストレージ 256/512GB
(外部最大1.5TB)
OS Android 14
カメラ アウト:48MP(24mm相当、標準)
+12MP(16mm相当、超広角)
+12MP(85-170mm相当、望遠)
/イン:12MP
バッテリー容量 5000mAh
防水/防塵 ○/○(IP65/68)
生体認証 ○(指紋)
USB端子 Type-C
カラバリ ブラック、プラチナシルバー、カーキグリーン(SIMフリー)、スカーレット(SIMフリー)

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