ソフトバンクのオンライン専用プラン「LINEMO」に、新プランの「ベストプラン」が発表された。月10GB以下の場合にMMO4社の中では最安になるとアピールしている。実際のところどうなのだろうか。
月10GB以下、MMO限定で最安といっても、MVNOはさらに安い
実はそれほどありがたくはないかもしれない!?
まず、この新しい「ベストプラン」は2段階で料金が変化するプランだ。通信量が月3GB以下では990円だが、3GBを超えて10GBまでは2090円となる。MVNOの格安SIMでは、月10GBで2090円以下のものは多数あるが、サブブランドを含めたMNOでは実はそういうプランは存在しない。
Y!mobileやUQ mobileでは近い金額を見たことがあるかもしれないが、それは光回線セットや特定のクレジットカード払いなど、数々の割引条件をすべて付けた場合に限られる。単体加入ではかなり金額が上がってしまう。
ちなみに割引条件がすべて揃うのなら、Y!mobile「シンプル2 M」は20GBで2178円、UQ mobileの「トクトクプラン」は15GBで2178円となる。
なお、「LINEMO ベストプラン」の比較対象となっているのが、楽天モバイル「Rakuten最強プラン」で、こちらは3段階制のプラン。家族割引などがない単独加入でも、3GBを超えて20GBまで、つまり10GB使ったときの料金は2178円となる。LINEMOはこの楽天モバイルに対して最安だと言っているわけだ。
ただしMNOに限定して、料金を比較する意味があるかどうかは微妙なところだろう。確かにMVNOの格安SIMでは、平日昼休みの時間帯などで速度が極端に落ち込む事業者はまだ存在するが、それ以外では問題なく利用できるばかりか、速度的にも優秀なサービスもある。
同じソフトバンク回線で比較すれば、最近品質が改善されたとしているmineo「マイピタ」の10GBプランは1958円。さらに安いサービスだとNUROモバイル「VLプラン」は10GBで1485円だ。
ドコモ回線やau回線のMVNOも入れると、MVNO大手のIIJmioは10GBで1500円。日本通信SIM「合理的みんなのプラン」は1390円(さらに通話定額も込み)、イオンモバイルは1848円と、いずれもLINEMOよりも安く利用することが可能だ。
「段階制のプランは使いやすいのか」という問題がある
LINEMOの新プランは月3GBから料金が上がり、月10GBまで使える「ベストプラン」に加えて、月20GBまでは2970円で、20GBを超えると30GBまで使えて3960円の「ベストプランV」がある。どちらも段階制プランで、まもなく開始の新プランスタート後は、新規加入の際は段階制の新プランしか選べない(既存ユーザーはそのまま旧プランを利用し続けられる)。
段階性プランが使いやすいかどうかは、ユーザーの考え方次第だが、月3GBを超えるかどうかのボーダーライン上にいる人は、990円か、その倍以上の2090円になるか気にしながら使うことになってしまうかもしれない。
3GBを超えるのは仕方ないと考えていて使うのであれば問題ないのかもしれないが、とにかく安く使いたいという人は、請求が倍以上になる心配が発生するので(3GBを超えないように制限をかける仕組みは用意されていない)、通信量が決まっているサービスのほうが安心できる、追加の容量チャージが割安ならなおよいと思う人もいるだろう。ちなみにLINEMOの追加チャージは、1GBにつき550円とMVNO並だ。
また、LINEMOには余った通信料の翌月繰り越しはない。繰り越しがあることによって、月による通信量の上下を吸収できる可能性を考えると、繰り越しなしのプランは少々使いにくい。
前述のとおり、10GB以下ではMNOで最安、20GB利用する場合でもドコモのahamoと同水準であることを考えれば、LINEMOはMNOの中で安価なことは間違いないが、通信量に気をつけないと料金が変わるという点は意識しておいた方がいいだろう。