シャープのスマートフォン新機種「AQUOS R9」は、同社がハイエンドに位置付ける「R」シリーズの最新モデルとなる。
最上位の「Pro」シリーズが投入されなかった上、デザインの大幅な変更やミドルハイクラスのチップセットの採用など、物議を呼ぶ変更が多くなされたAQUOS R9だが、実際の使い勝手はどう変わったのだろうか。シャープから貸与された実機で検証してみよう。
海外を意識してかデザインが劇的に変化
まずはサイズを確認すると、AQUOS R9は約6.5型のディスプレーを搭載しており、サイズは約75×156×8.9mm、重量は約195g。前機種に当たる「AQUOS R8」はディスプレーサイズが約6.39型で、サイズは約74×159×8.7mm、重量は約179gであったことから、画面サイズが少し大きくなったぶん、やや重くなった。
前面はディスプレーに「Pro IGZO OLED」を採用し、リフレッシュレートは1~240Hzの可変駆動だが、より大きく変わったのはデザインだろう。
AQUOS R8を始めとしたここ最近のAQUOS Rシリーズは、背面のカメラを中央に配置し、カメラを際立たせたデザインが大きな特徴となっていたが、AQUOS R9ではカメラの位置が左に寄せられただけでなく、その形状も円とも楕円ともつかない独特のものに変更がなされている。
このデザインの大幅な変更は、シャープがあえて狙って取り組んだもの。デザイナーの三宅一成氏が設立したmiyake designが担当し、あえて違和感を覚えるデザインを取り入れ、新たな特徴を打ち出している。
従来のスマートなデザインのAQUOS Rシリーズを使ってきた人からすると違和感は大きく、特徴的ではあるが評価を分ける要素となっていることは間違いないが、一方でカメラの出っ張りが低く抑えられており、実用面では大きな影響はない印象だ。
カメラ部分以外のデザインにもいくつか変更が加えられている。たとえば背面では、AQUOS R8はマットな質感の素材が採用されていたのに対し、AQUOS R9は光沢のあるガラス素材を採用。質感は大きく変わっているが実際に使ってみると指紋はあまり目立ちにくくなっているなど、素材面で工夫が施されているようだ。
そしてもう1つ、大きく変わったと感じるのが角の部分で、AQUOS R8と比べると丸みが小さくなり、よりスクエアな形状であることに重点が置かれている。このあたりも好みが分かれるところだろうが、筆者としては角に手に当たる時のフィット感が弱まった印象がある。
側面のインターフェースも変化している部分があり、具体的には上部の3.5mmのイヤホン端子がなくなったことだ。国内のスマートフォンメーカーはこれまで、ハイエンドモデルであってもイヤホン端子を残す傾向にあったのだが、AQUOS R9は元々海外で販売することが想定されていることもあってか、最近のハイエンドモデルでは一般的なイヤホン端子なしの仕様に変わったようだ。
それ以外のインターフェースは大きく変わっておらず、右側面には音量キーと、指紋センサーを搭載した電源キーが搭載。
本体上部にはSIMトレイが備わっており、SIMピンがなくても抜き差しできる仕組みは維持しながらも、トレイは「AQUOS R8 Pro」など従来のフラッグシップモデルと比べると頑丈になっている感がある。