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シャープ「AQUOS R9」はデザインやチップの変更で評価が分かれたが、実機であらためて実力を検証した (3/3)

文●佐野正弘 編集●ASCII

2024年08月24日 12時00分

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Snapdragonの「7+」は「8」にどこまで迫るのか

 性能面を確認すると、AQUOS R9のチップセットはクアルコム製の「Snapdragon 7+ Gen 3」であり、メモリーは12GB、ストレージは256GBだが、1TBまでのmicroSDによる増量が可能。AQUOS R8と比べた場合、搭載するチップセットがハイエンドの「8」ではなくミドルハイクラス向けの「7シリーズ」にダウンしている点が、デザイン同様物議を呼んだもう1つのポイントだ。

 ただシャープとしては、AQUOS R9の性能はAQUOS R8と大きく変わらないとしている。では実際のところ、Snapdragon 7+ Gen 3の実力はどの程度なのだろうか。ベンチマークやゲームなどで性能を確認してみると、確かに以前のSnapdragon 8シリーズに匹敵する性能はあるようで、ゲームのグラフィックなどは以前のハイエンドモデルと同等の設定が可能なようだ。

AQUOS R9

「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果

AQUOS R9

「3DMark」(WildLife Extreme)のベンチマーク結果

AQUOS R9

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが「ウルトラHDR」、フレーム設定が「ウルトラ」までと、ハイエンドと同じ設定が可能だ

AQUOS R9

「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「中」と、以前のハイエンドモデルと同水準となる

 ただベンチマークのスコアを見る限りでは、AQUOS R8が搭載していた「Snapdragon 8 Gen 2」搭載機種と比べると低く、リアルタイムレイトレーシングにも対応していないことから、どちらかといえばその1つ前となる「Snapdragon 8 Gen 1」といい勝負、という印象だ。

 ちなみに、ここ最近登場したAAAクラスのゲームのいくつかを最高のグラフィック設定にプレイしてみたところ、「ゼンレスゾーンゼロ」はスムーズに動作したが、「鳴潮」は時々フレーム落ちが生じることがあった。

AQUOS R9

「鳴潮」をプレイしてみたところ。グラフィック設定を最高水準に上げてもある程度快適なプレイは可能だが、敵が多いシーンなどではフレーム落ちが生じやすい

 当然、最新の「Snapdragon 8 Gen 3」搭載機種と比べると性能は落ちるが、ミドルハイクラスの中ではかなり上位の性能を誇ることは間違いないだろう。ベイパーチャンバーを搭載したことでゲームプレイ時の発熱もかなり抑えられており、ゲーミングを重視する人も不満を抱くことはあまりないだろう。

 一方でバッテリーは5000mAhと、4570mAhだったAQUOS R8から増量された。一般的なハイエンドモデルと同等の容量になったことから、安心感が高まったことは間違いない。

 そして通信に関してだが、SIMは物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIMに対応しており、ドコモからも販売されるだけあって、5Gの4.5GHz帯(バンドn79)にもしっかり対応している。国内で利用するなら安心だ。

AQUOS R9

SIMスロットはnanoSIM×1で、「AQUOS R8 Pro」などよりは丈夫になった印象。裏側にはmicroSDを挿入できる

 その通信に関して、新たに話題の生成AIを活用した「伝言アシスタント」が搭載されている。これは電話に出られない時、端末本体に直接伝言を録音できる「伝言メモ」の発展形というべきものであり、録音した音声を文字起こしし、さらに要約もしてくれる。オンデバイス上のAI処理で実施することから、プライバシー面でも安心感がある。

 実際に試してたところ、落ち着いて話せば比較的正確に文字起こししてくれるので、わりと便利だと感じるが、名前など固有名詞の変換がうまくいかないケースが多く、留守番電話で録音することが多い名前などの認識はもう少し改善が必要だろう。

 要約機能はかなり長い伝言であれば有効なのだろうが、留守番電話に多い10~20秒程度の短いメッセージでは通常の文字起こしした内容とあまり変わらず、メリットが薄いと感じた。

AQUOS R9

伝言アシスタントに伝言を残してみたところ。内容は比較的正確に起こしてくれるが、固有名詞の認識はいまひとつで、冒頭に話した名前などはうまく起こすことができていない

AQUOS R9

先の伝言の要約。内容が長い場合は便利だが、短いとあまり意味をなさないことが多いと感じた

【まとめ】デザインは好みが分かれるが機能・性能は満足感が高い
でもやっぱり最高水準のProモデルの復活にも期待

 AQUOS R9は昨今の厳しい市場環境を受けたこと、そして海外展開を意識して開発されたことなど、シャープの戦略転換を強く受けていることもあって、やはり従来モデルと大きく変わった点が非常に多いと感じた。

 とりわけデザインに関しては、AQUOS R8シリーズで全体的な統一を図ってから短期間での方針転換ということもあって、好みが大きく分かれることは確かだろう。

 ただ、実際に触れてみると、機能面ではAQUOS R8を踏襲しながらうまく発展がなされているし、性能に関してもAQUOS R8と同等とはいかないものの、大幅にスペックダウンしているワケではない。

 カメラのズーム切り替え速度を除けば実利用で大きな不満を抱くケースはそれほど多くはなく、オープン市場で10万円をやや超えるという実売価格を考えれば、満足感の高い内容だ。

 とはいえ、日本のハイエンドモデルを長年けん引してきたシャープが、AQUOS RシリーズのProモデルを投入しないという選択をしたことは非常に残念だ。やはり最高水準のProモデルの復活を大いに要望したい。

  AQUOS R9
ディスプレー 6.5型Pro IGZO OLED
(19.5:9)240Hz対応
画面解像度 1080×2340
サイズ 約75×156×8.9mm
重量 約195g
CPU Snapdragon 7+ Gen 3
内蔵メモリー 12GB
内蔵ストレージ 256GB
外部ストレージ microSD(最大1TB)
OS Android 14
対応バンド 5G NR:n1/3/5/7/28/38
/40/41/66/77/78/79
4G LTE:1/2/3/4/5/7/8
/11/12/13/17/18/19
/20/21/28/66
/38/39/40/41/42
W-CDMA:1/2/4/5/8
4バンドGSM
無線LAN Wi-Fi 7
カメラ画素数 約5030万画素(標準)
+約5030万画素(広角)
/イン約5030万画素
バッテリー容量 5000mAh
FeliCa/NFC ○/○
防水・防塵 ○/○(IP68)
生体認証 ○(指紋+マスク対応顔)
SIM nanoSIM+eSIM
USB端子 Type-C
カラバリ グリーン、ホワイト

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