山根博士の海外モバイル通信

ファーウェイの新型EV「LUXEED」はスマート化でよりモバイルとクルマは密接な関係に

文●山根康宏 編集●ASCII

2024年09月09日 12時00分

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LUXEED S7

 ファーウェイの展開する電気自動車(EV)は、Seresと共同開発した「AITO」シリーズが2021年から販売されています。ファーウェイのEV展開は自社ですべてを製造するのではなく、自動車メーカーと協業の道を取っています。

 2023年からはその協業の幅を広げ、自動車メーカー主体で開発したEVにファーウェイのスマートソリューションを搭載した「Harmony Intelligent Mobility Alliance」を立ち上げ、その第1弾としてCHERYと協業したブランド「LUXEED」のEVをファーウェイストアでも販売しています。

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深センのファーウェイストア。手前がLUXEED S7、うしろの赤い車はAITOシリーズ

 LUXEED最初のモデルとなるLUXEED S7は5人乗りのセダンで、テスラのModel Sの競合モデルといいます。ボディーサイズは全長4971×全幅1963×全高1461mm、ホイールベースは2950mm。2023年11月から販売が開始され、価格は25万8000元(約530万円)からという値付けです。

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500万円台で購入できる

 モーター出力は215kW、シングルモーターの2軸駆動とデュアルモーターの4軸駆動があり、0-100km/h加速はそれぞれ5.5秒と3.3秒。バッテリー容量は非公開、5分の充電で200km以上の走行が可能、15分充電で400km、航続距離は最上位モデルで800km以上とのこと。

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モーターの性能も高い

 車内は革張りシートで高級感があります。インテリアに関しては中国大手自動車メーカーであるCHERYが手掛けているので十分すぎる仕上げです。しかもファーウェイと協業したインテリジェンスなEVですから上質感があります。

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インテリアも高級だ

 運転席前方には12.3型のディスプレーを、そしてセンター部分には大型のタッチパネルディスプレーを搭載。車内の操作や車体の管理ができます。ドリンクホルダーの上にある部分は50Wのワイヤレス充電台となっており、スマートフォンを置くだけで充電可能。さらに車内のインフォテイメントシステムとHarmonyOSで接続されます。

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大型ディスプレーが目を惹く

 HarmonyOS 4によるスマート化により、スマートフォンとの接続もシームレス。さらにナビゲーションや店舗検索から音楽、動画の再生、さらにかかってきた音声通話やビデオコールにもそのまま出られるなど、ファーウェイのエコシステムを車内でもそのまま利用できます。

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HarmonyOSでファーウェイエコシステムを利用可能

 ファーウェイはHarmony Intelligent Mobility Allianceを「HIMA」と名付けており、今後も対応車種を増やす予定です。中国のEV市場は逆風が吹いているという話も聞こえますが、深センのファーウェイストアを訪問してみると、来客の数はかなり多く、スマートフォン人気と合わせてAITO、LUXEEDに注目する消費者は増えています。

 ファーウェイのロゴがないのがちょっと残念ですが、今後ファーウェイのスマートシステムを搭載したEVが数を増やしていくことは間違いないでしょう。

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HIMAを掲げたEVが今後も増える

筆者紹介───山根康宏


 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から100万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。

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