アップルは9月9日（現地時間）、「iPhone 16」を発表した。1世代前の「iPhone 15」も値下げされて販売を継続するが、両者の違いはどこにあるのだろうか。iPhone 16で新しくなった部分を中心に、両者の違いをまとめた。

iPhone 16はAI、ゲーム、カメラ周りを大幅強化

●強力な「A18」チップでAIとゲーム機能を大幅強化

　iPhoneの心臓部ともいえるSoC（CPUを含むパーツ）については、iPhone 16で新しい「A18」チップ、iPhone 15は2世代前の「A16 Bionic」となっている。

　A18はA16 Bionicと比較して、より生成AI関連の処理に最適化されており、最大2倍速く機械学習（ML）モデルを実行可能。電力効率も向上し、同じ負荷の作業でもA16 Bionicより30%少ない電力で処理できるとしている。

　また、ハードウェア・アクセラレーテッド・レイトレーシングを搭載することで、iPhone 15では利用できなかったAAAのゲームや2025年以降に登場するウルトラグラフィックスモードを搭載したゲームにも対応可能だ。

●カメラもマクロや空間写真、空間ビデオ撮影に対応

　カメラは4800万画素のメインカメラと1200万画素の超広角の2眼構成だが、iPhone 16では新たにマクロ撮影モードに対応。被写体により近づいて撮影できるため、撮れる作品の幅も拡がった。

　さらに「Apple Vision Pro」などで利用できる空間写真と空間ビデオの撮影にも対応。動画は空間オーディオにも対応しており、「AirPods」などで立体的な音を楽しんだり、演奏動画の撮影後にボーカルの声を前面に配置するなど、より高度な音響編集も可能となった。機械学習を使ったノイズ低減機能を使えば、耳障りな風切り音を小さくすることもできる。

　ハードウェア面では本体側面に静電容量式のタッチセンサー「カメラコントロール」を新たに搭載。カメラアプリの起動やズーム、撮影モードの切替といった操作を、ディスプレーに触れずにできるようになった。

　また、今後のアップデートで、カメラコントロールでカメラに映っている店舗や動物などの情報を、そのままChatGPTやGoogle検索でチェックできるようになる予定。例えば、街で見かけた店にカメラを向けて営業時間を調べたり、かわいい犬にカメラを向けて犬種を特定したりといった使い方も可能だ。

　ほかにもApple Intelligenceを活用して、iPhoneに保存した写真をより簡単に探せるようになったり、写真の背景に写った不要な物を削除する「消しゴムマジック」的な機能を使ったりすることもできる。

●アクションボタンの追加

　「iPhone 15 Pro」シリーズに搭載された側面のアクションボタンは、iPhone 16にも用意されている。こちらのボタンにはマナーモードのオン／オフ切替やShazamでの音楽認識、翻訳機能の起動など、さまざまな機能を割り当て可能。よく使う機能をボタン1つで簡単に利用できるようになる。

　標準のショートカットアプリと組み合わせ、時間帯ごとにアクションボタンに割り当てる機能を変えることも可能。例えば仕事をしている日中は集中モードのオン／オフに、帰宅する夜にはフラッシュライトのオン／オフにするような使い方もできる。

1万2000円の追加で「Apple Intelligence」に対応

　iPhone 16とiPhone 15の違いとしてもっとも大きいのは、iPhone 15ではアップルのAI機能「Apple Intelligence」に対応できないことだ。先に触れた画像を使った検索や写真編集機能だけでなく、画像生成やメッセージ系アプリでの文章の書き直し、構成、要約、電話アプリでの音声の書き起こしといった機能もApple Intelligenceの対応が必須となり、iPhone 15では利用できない。

　9月10日現在のApple直販価格はiPhone 16が12万4800円から、iPhone 15が11万2800円からとなっており、最安モデルの価格差は1万2000円。Apple Intelligenceを切り捨てて安いiPhone 15を選ぶか、AI機能や将来性も鑑みて1万2000円多く払うか、悩ましいところだ。