Pixelシリーズのイヤホンで最も洗練された音
Pixel Buds Pro 2の音質をチェックしました。筆者がこれまでに聴いてきたPixel Budsシリーズの中で、最も音楽性豊かなサウンドになっています。音像定位が力強く、立体的な演奏空間が浮かび上がります。特に中音域の彫りが深くなり、低音域の弾力感がアップしています。聴き比べると前世代のPixel Buds Proの音はやや線が細く、音場描写も平板に感じられました。
Pixel Buds Pro 2の本体設定の少し奥まった所(「音」→「イコライザイー」→設定アイコンをタップ)には、5つの音域から自由に好みのサウンドを設定できる「カスタムイコライザー」もあります。値を設定して繰り返し使える機能です。
音楽だけでなくNetflixやYouTube、Disney+など動画配信サービスの一部対応コンテンツを楽しむ際には、空間オーディオやヘッドトラッキングの機能も併用できます。
スマホのGeminiをイヤホンから操作する
Pixel Buds Pro 2には、ペアリングしたAndroid端末の側で設定したデジタルアシスタントを音声やタッチセンサーリモコンから呼び出してコントロールできる機能があります。
Pixel 9のデジタルアシスタントをGeminiに設定すると、スマホの電源ボタンなどによる操作を介することなく、Pixel Buds Pro 2から声でGeminiを起動できます。ウェイクワードは「OK Google」。音声操作に対する反応はとてもよいと思います。現状対応する言語が英語のみですが、Gemini Liveによるチャットもテンポ良くやり取りできました。
Pixel Buds Pro 2が内蔵するマイクの感度が高いので、比較的小さい声でも正しく音声コマンドを受け付けてくれます。音声で「ふつうに」Geminiが操作できる感覚が心地よいです。音声操作が気兼ねなくできる場所であれば積極的に使えるでしょう。筆者自身としては正直、今すぐGeminiの音声操作をガンガン使う機会はなさそうですが、今後新しいイヤホンを買うならば「Gemini対応」のものを選ぶと思います。
良い評価が得られそうなフラグシップ
Pixel Buds Pro 2は「デバイスを探す」機能からイヤホン本体だけでなく、ケースも探せるようになりました。ケースに内蔵する小型スピーカーから鳴るビープ音を頼りに探せます。
ハンズフリー通話時には「クリア音声通話」をオンにすると、騒々しい場所の環境ノイズを消しながら、ユーザーの声だけをピックアップして通話の相手に届けることができます。
Pixel Buds Pro 2はシリーズの新しいフラグシップとして良い評価を獲得できると思います。グーグルには今後、スポーツシーンにより適した耳掛けスタイルの開放型モデルや、アクセサリー感覚で身につけられるイヤカフスタイルのモデルなど、ワイヤレスイヤホンのラインナップ拡大にもチャレンジしてほしいです。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。