タフネススマホ「TORQUE」は死なず! 京セラが大切にするTORQUEファンとのキズナ

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2024年10月12日 10時00分

法人向けの方針は変わらないが
TORQUEシリーズは大事にしたい

 昨年、京セラが個人向けスマホ事業から撤退するというニュースが世間を騒がせたが、タフネススマホ「TORQUE」シリーズだけはリリースすると発表、実際にその年の10月にauが「TORQUE G06」を発売した。

TORQUE

初代であり、ドコモの法人向けとして発売された「TORQUE SKT01」

 このことで安心したTORQUEファンもいるかもしれないが、今後はどうなるのかわからない。現に、今年は新製品が発表されていない。今年はTORQUEシリーズ発売10周年なのに……、と残念に思っていると、京セラから10周年を記念したメディア向け説明会を開催するとのこと。

 説明会の会場では京セラの通信機器事業本部 通信技術部 プロダクト戦略部責任者 伊東恭弘氏、研究開発本部 統合デザインセンター責任者の北村和生氏、通信機器事業本部 ビジネスインテグレーション事業部 マーケティング部 マーケティング戦略課の吉田崇晃氏の3人が、それぞれTORQUEの来し方行く末を語ってくれた。

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左から研究開発本部 統合デザインセンター責任者 北村和生氏、通信機器事業本部 通信技術部 プロダクト戦略部責任者 伊東恭弘氏、通信機器事業本部 ビジネスインテグレーション事業部 マーケティング部 マーケティング戦略課 吉田崇晃氏

 伊東氏は「耐久性能を前面に出したスマホで、アウトドアユーザーに向けて訴求してきましたが、新型コロナウイルスの影響もあり大人数より個人個人でのレジャーが増えました。その時代のトレンドを取り入れながら改良してきました」と語る。

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通信機器事業本部 通信技術部 プロダクト戦略部責任者 伊東恭弘氏

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単に強靱というだけでは飽きられてしまう

 ただ単に強いというだけではユーザーも飽きてしまうし、世の中にはもっと強い端末もある。「だからYouTube向けの機能とか、カメラを3眼化して性能を上げたりといった改良もしました。また、ユーザーとの接点を多く作るべくコールマンさんとのコラボもしましたね」と伊東氏。

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TORQUE SKT01

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auから登場した「TORQUE G01」。au版の初代といえる

 また、京セラでは高耐久だけでなく、持続性、秘匿性、特殊性をまとめてタフネスとしているとのこと。もちろん、2mの高さから落下させたりといった堅牢性を突き詰めるテストをした上でだ。単に頑丈だからタフネスというわけではない。

 また、気になる今後の展開については「法人向けにシフトする方針は変わっていない」としつつ、工事現場の機材がDIYの日曜大工におりてきたように、法人の現場で培った機能を個人向けにフィードバックさせることも考えているという。まだまだTORQUEの火は消えそうにない。

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法人向けのラインナップ。カラバリは全部ブラック

ユーザーの声から八角形に
赤がメインカラーなのは屋外での視認性の良さ

 次はTORQUEのデザインについて、研究開発本部 総合デザインセンター責任者 北村和生氏が説明してくれた。

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研究開発本部 総合デザインセンター責任者 北村和生氏

 TORQUEは初代(G01)から2代目(G02)までは長方形のデザインだったが、3台目(G03)からは八角形になり、それが最新モデル(G06)まで引き継がれている。このことについては「落としたら角が潰れたという意見がありまして、八角形のデザインになりました。また、4代目(G04)からは縦のシンメトリー要素も加えました」とのこと。

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角が弱点だったので、八角形にすることで改善した

 イメージカラーが一貫して赤と黒なことは「自然環境下での視認性を考えた結果」だそうだ。また、5代目の型番はシリーズの中では異質な「5G」となっているが、北村氏は「最後までG05にしたかったんですが、販売戦略の関係上……。今でもG05にしたいと思っています」と未練があるようだ。

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スマホの中ではカラバリが多いほうのTORQUEだが、イメージカラーは赤に統一

 一方で法人向けモデルは黒で統一されている。これはコストを下げるためでもあるのだが、やはりビジネスとして使う場合は色がバラバラより、統一されていたほうがわかりやすいだろう。

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左が法人向け。デザインが違うことがわかる

 TORQUEシリーズはユーザーの意見を反映させた部分が多いが、5代目(5G)で本体サイズが大きくなったが、大きすぎるという意見が多かったようで、6代目(G06)では5.4型の画面サイズはそのままに本体サイズを縮小させるなどの改良も行なっている。

 話の流れで折りたたみモデルは考えているのかという意見が出たが、ヒンジや折り目など、使い勝手を良くしないと難しいとのことだった。また、TORQUEの魅力である堅牢性や防水防塵性能も、折りたたみだと相性が悪そうだ。

TORQUEの根強いファンと育てる
開発者でも思いつかないアイデアが出ることも

 京セラは昨年、TORQUEファンサイト「TORQUE STYLE」をオープンさせた。ユーザー同士の情報交換ができる場になっている。このユーザーとの接点については、通信機器事業本部 ビジネスインテグレーション事業部 マーケティング部 マーケティング戦略課 吉田崇晃氏が語ってくれた。

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通信機器事業本部 ビジネスインテグレーション事業部 マーケティング部 マーケティング戦略課 吉田崇晃氏

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 「ユーザーさんが端末をカスタマイズした写真を投稿してくれているのですが、TORQUEシールを貼ったり、背面カバーに推しのエンブレムを塗装したり、TORQUEのロゴを暗いところで光るようにしたりと、愛着が感じられます。ユーザーさんにとっては仲間が集える場所であり、メーカー側としてはお客様と直接向き合える場所なんです」

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「TORQUE G02」。一番右はホンダレーシング(HRC)がダカールラリー(2017年)でバイタルチェックのために実際に使われたもの

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フィーチャーフォンスタイルの「TORQUE X01」。懐かしの「G'zOne」を思い出す

 聞けば、いまだに初代を使っている人もいるんだとか(OSアップデートは当然止まっている)。TORQUEはとにかく愛が強い人が多いので、いきなり法人向けに全集中ということにはならなそうだ。

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デザインが八角形になった「TORQUE G03」。一番右はHELLY HANSEN LIMITED

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カラバリは3色になったが、上下のシンメトリーデザインが取り入れられた「TORQUE G04」

 なお、京セラはTORQUE10周年を記念して、ユーザーイベントを10月12日(14時~)に開催する。こちら、すでに応募は締め切られているが、YouTubeでの配信もあるので、行けないTORQUEユーザーは、配信を見てはいかがだろう。

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本端が大きくなり、型番も5Gになった「TORQUE 5G」。一番右はコールマンコラボモデル

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カメラが3眼になった「TORQUE G06」。現在最新のモデル。10周年を記念したオリーブグリーンのカラーもあるが、発売の予定はない

 TORQUEはユーザーに育ててもらったと京セラ。昨年の個人向けスマホ撤退のニュースは寝耳に水だったが、こうして火を灯し続けてくれるのはファンにとってありがたいに違いない。

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