9月12日に、ドコモのオンライン専用プラン「ahamo」が料金を変更せず、通信量を月20GBから30GBに増量するという衝撃のニュースが流れ、ライバルもそれに追従するように増量を進めた。
結果として、約3000円程度の料金で、通信量が月30GBと並ぶ形になったが、実際どのプランがいいのだろうか?
実際には、月30GBといっても余った通信料の繰り越し、付帯サービス、加入時の特典で人によって合う合わないがある。また、回線品質という問題もある。今、注目したい月30GBのプランを中心に比較した。
月30GBが自分にピッタリという人でも
単純に金額だけでは比べられない
まず、あらためて最初に言えることは、誰にとっても最良な回線などはなく、使い方や自宅の固定回線の種類、利用するエリアなどによって変わるということだ。つまり、自分の使い方や環境をよく把握することが、コスパに優れた回線選びの基本だと言える。
その中で、30GB対決として比較されることが多い回線は、増量の発端となったドコモ「ahamo」、auのサブブランド「UQ mobile」、ソフトバンクのオンライン専用プラン「LINEMO」の3つ。
加えて、中~大容量での値下げ競争の起点とも言える楽天モバイルに、ドコモMVNOの格安SIMで料金だけなら最安の日本通信SIMがある。これらはいずれも、1回線での契約(家族割引がなくても)でも、自宅に対象の固定回線がなくても料金は基本的に変わらず、3000円前後となっている。
さらに、対象固定回線とセットで使えば競争力があるY!mobile、余った通信量の繰り越しや加入時の特典を考えるとオトクなIIJmio、店頭サポートもあるイオンモバイルを加えてもいいかもしれない。
余った通信量の繰り越しの有無は実際の利用時に影響が大きい
通信量を重視して回線選びをする際、次に確認したい項目は、余った通信量の繰り越しの有無となる。繰り越しがあればずっと予備容量を抱えているようなもので、使用量の変動が大きい使い方(たとえば、旅行や帰省先でテザリングで利用するなど)では追加チャージをすることなく乗り切れることが多い。
たとえば、6ヵ月間の通信量が13GB、12GB、18GB、35GB、20GB、15GBと変動する場合で考えてみる。
グラフは翌月繰り越しのある20GBのプランを前提にしている。グレーと黒の合計がその月に使った通信量で、水色が翌月に繰り越し分、つまりここまで使っても追加課金なしで使えるということだ。
最初の3ヵ月で徐々に翌月繰り越し分が多くなり、4ヵ月目では35GB使っても追加料金は発生せず。さらにこの使い方では常に繰り越し分を残しているため、月20GBを多少超えても高速のまま利用できるということになる。
ところが繰り越しのない月30GBのプランでは、4ヵ月目のところが35GBなので、5GBを追加チャージで課金して容量を増やすか、低速で我慢する(ahamo/UQ/LINEMOでは最大1Mbpsで利用できるが)しかない。たとえば、ahamoは追加チャージが1GBあたり550円なので、5GBだとプラス2750円でその月の合計は基本料2970円に2750円を足して5720円となる。これではせっかくの安さが台無しだ。
つまり繰り越しがなければ、毎月の利用量が変動するなかで最大値で契約しておかないとなにかと不便になり、使用データ量が常に一定の人以外は無駄が多いということになる。
実際のところ、毎月利用する通信料が常に一定とはなりにくく、多少の変動は必ずある。特に普段はテレワークだが、外出作業時にテザリングを使うという人だと、極端にデータ量が多くなるケースが発生する。だからこそ繰り越しで余剰の通信量を貯めておけることは有効だ。
前述の30GBプランのなかでは、繰り越し有りはUQ mobile、IIJmio、Y!mobile、イオンモバイルが該当する。また、MVNOの格安SIMも20GBなら繰り越しありのサービスは多く、繰り越しなしの30GBと大差ない、さらには、より快適な使い方ができる可能性もある。
これはあくまで一例だが、「余った通信量の繰り越し」のメリットが大きい点は覚えておいたほうがいいだろう。