iPhone 15シリーズでひと皮むけた印象だったが
iPhone 16はそれを継承したという印象
なお、カメラ自体の話をすると、ディテールがとても豊かだというのが第一印象。iPhone 15/15 Proで“ひと皮むけた”という印象を受けたが、それを継承している。つまりまあ、大きな違いはないのだが、望遠カメラだけは別。15シリーズまでProは3倍・77mm相当、Pro Maxは5倍・120mm相当という違いがあった(ちなみに無印はなし)が、iPhone 16 Proは5倍を搭載しているのだ。
iPhone 16 Proでは超広角カメラが進化し、AFにも対応
マクロがオンのときにメリットを感じる
これまで12メガピクセルだった13mm相当の超広角カメラも、16 Pro/Pro Maxでは広角(メイン)カメラと同じ48メガピクセルになった。しかもこれまで被写界深度の深さに頼って固定だったピントが、しっかりとオートフォーカスになった。
広い画角を撮るときはもちろん、マクロがオンのときも超広角カメラのクロップ(切り抜き)になるので、画素数の向上やオートフォーカス化の恩恵は大きい。
僕はこの画質低下がイヤでこれまでマクロをオフにしていたが、16 Proでマクロをオンにして撮った写真を見ると、まだディテールがわずかに劣るものの、普通に撮った写真と並べても違和感がなくなった。これらのスペック向上から考えると、これまでカメラ性能のためにPro Maxを選んでいたユーザーも、同じ性能で小さくて安価なProを選べる一方、Proと無印の差が少し開いた印象もある。そのあたりのラインナップの整え方がAppleはさすがだなぁと思う。
色味を変える「フォトグラフスタイル」が細かく調整可能に
色味を変える「フォトグラフスタイル」も進化。これまでは撮影前に「暖かい」「鮮やか」といった項目を選択。するとその後撮影するすべての写真にそれが適用された。つまりベースの色調を設定する機能だった。
それがiPhone 16シリーズでは「クールローズ」「ローズゴールド」「アンバー」といった15種類のプリセットを用意。さらにグリッドでトーンと色味、スライダーで適用量を細かく選べるようになった。何より注目なのが、それを撮影後でも変更したり、元に戻すことができる……というのを僕はAppleさんから借用していた端末を返却した後で知った。一生懸命いじりながら何枚も撮ったあの苦労はなんだったんだ。
iPhoneのカメラはこの「フォトグラフスタイル」が進化した結果、写真が見た目に近くなったように感じる。以前は撮影すると露出を変えた複数枚を同時に記録。それを重ね合わて階調差を埋めるHDRの効果が目立ちすぎていた。
しかし「フォトグラフスタイル」での調整のしやすさを考えて、ナチュラルな仕上がりを目指すようになったのかもしれない。だから色味やトーンをどの方向に振ってもハマりやすい。このあたりのアレンジはさすがAppleだ。
なお「フォトグラフスタイル」はiOS 18に対応している機種であれば使用可能。ということでまだ頑張ってくれている私物のiPhone 13 ProをiOS 18.1にアップデートした。が、調整はグリッドではなくスライダーのみ。グリッドが表示されるのはiPhone 16シリーズのみなのだろうか。そのあたりが確認できていないのだが、つまりはiPhone 16シリーズを買えということか。
10月28日にはiOS 18.1へのアップデートで、(英語であれば)Apple Intelligenceの初期機能が提供開始となり、今後さらにパワーアップが約束されている。
カメラ機能についていえば、写真の検索性が向上し、アルバムの自動生成などもできるという。もちろんカメラ機能以外で進化する部分も大きく、個人的には「作文ツール」でこうした原稿の執筆を手伝ってくれないかな……とも思ったりするが、手伝うどころかそのうち仕事を食われそうな気がしないでもない。
それはともかくApple Intelligence自体はiPhone 15 Pro/Pro Maxでも対応しているが、逆に言えば14シリーズ以前や、15でも無印のユーザーは、16シリーズに買い替える理由にはなるかもしれない。引き続きアップデートに注目したいところだ。