iPhone 16e特集 最新CPU搭載の高性能で10万円切りは超コスパ

【実機レポート】iPhone 16eのイイ(!)ところは 「快適動作」「必要十分カメラ」「軽い」の3つ

文●山本 敦 編集●ASCII

2025年02月27日 11時00分

iPhone

iPhone 16eの512GB/ブラックの実機を試しました。167gと軽い6.1型のiPhoneは、片手持ち操作も快適です

 アップルが2月28日に発売する「iPhone 16e」の実機による先行レビューです。筆者は最新のA18チップを搭載するベーシックモデルのiPhone 16eに、iPhoneの基本的な体験を豊かにする「3つのイイところ」があると実感しました。それぞれのポイントを解説します。

Apple Intelligence対応の最も安価な「AI iPhone」

 9万9800円から買えるiPhone 16eは、Apple Intelligenceに対応する最も手頃なiPhoneの現行モデルです。

 Apple IntelligenceはiPhoneにiPad、MacとApple Vision Proのハードウェアに最適化されたアップル独自の生成AIプラットフォームです。たとえばメールアプリの中でApple Intelligenceの「作文ツール」を立ち上げて長いテキストを要約したり、メッセージアプリに組み込まれた「Genmoji」からオリジナルの絵文字を生成して送り合うといった楽しみ方が、iPhoneに代表されるアップルのハードウェアとアプリケーションによる体験と完全に統合されています。

 iPhone 16ファミリー以外のiPhoneでも、iOS版が提供されているChatGPTやGeminiのモバイルアプリをインストールすれば生成AIを体験・活用できます。ただし、ユーザーインターフェースのデザインまでもが洗練されている「初めてのApple Intelligence=AIスマホ体験」が手に入ることがiPhone 16eの大きな強みです。

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iPhone 16eは4月から日本語にも対応するApple Intelligenceが使える最もベーシックなiPhoneです。Apple IntelligenceからChatGPTをオンにすると、ChatGPTのユーザーアカウントがなくてもSiriやビジュアルインテリジェンスと連係するときに検索をサポートしてくれます

 いよいよ4月からApple Intelligenceは日本語にも対応します。今後アップルはiOSをアップデートするたびに「Apple Intelligenceの新機能」も続々と発表・追加してくると思います。iPhone 16ファミリーは、その最先端を味わうために重要なスマホなのです。

iPhone 16eのイイところ その1
A18チップが実現する快適動作

 Apple Intelligenceの様々なツールを軽快に動かすため、iPhone 16eは最新のApple A18チップを搭載しています。iPhone 16eの1つめのイイところは、上位モデルに引けを取らないサクサク動作です。

 本機のために最適化されたA18チップは、構成するGPUのコア数がiPhone 16よりも1つ少ない6基のCPUコア、4基のGPUコアという仕様。16コアのNeural Engineは共通です。

 iPhone 16 ProとiPhone 16 Plusも用意して、ベンチマークアプリの「Geekbench 6」でパフォーマンスを複数回測定してみました。結果、CPUはシングルコアとマルチコアのポイントがいずれもiPhone 16 Plusに肉薄。iPhone 16eが上回ることもありました。

 GPUのメタルスコアはコア数が1つ多いiPhone 16 Plusが面目躍如を果たしましたが、iPhone 16eでもレーシングゲームやシューティングゲームがストレスなく遊べます。

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Geekbench 6でiPhone 16ファミリーのCPUをテスト。左側iPhone 16eの優秀さが光りました。中央がiPhone 16 Plus、右がiPhone 16 Pro

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GPUメタルスコアもなかなか良好な成績です。実際、iPhone 16 Plusに対して力不足は感じません

 ほかにもFace IDによるロック解除や、アクションボタンのクリックによるカメラアプリやショートカットアプリの呼び出し操作も快速です。ハードウェアとしての完成度も高いiPhone 16eは、「SEの後継モデル」ではなく、最新のiPhone 16ファミリーの一員であることが使い込むほどに実感されます。

iPhone 16eのイイところ その2
必要十分に高機能なカメラ

 iPhone 16eが搭載する48MP Fusionカメラはシングルユニットですが、1つのカメラで35mm換算で焦点距離26mmの等倍撮影と、2倍の焦点距離52mm望遠ズームが楽しめるツーインワン仕様です。最新のコンピュテーショナルフォトグラフィ機能も搭載しているので、日常の様々なシャッターシーンをキレイに記録できたことが2つめのイイところです。

 等倍撮影時には48MPの最大解像度で写真を撮る「HEIF最大」モードが選べます。2倍ズームやナイトモード、フラッシュを使うと12MPで記録されますが、それぞれに満足度の高い写真が撮れます。デジタルズームの倍率はiPhone 16と同じ最大10倍。10倍まで被写体に寄るとやや不自然さが気になるのは仕方ないところです。

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48MPの最大解像度で写真を撮る「HEIF最大」モードが選択可能。イメージセンサーの実力をフルに活かしきれます。ファイルサイズはケタ違いに大きくなるので注意

 筆者はiPhone 16 Proで写真・動画のマクロ撮影をよく使うので、iPhone 16eにこの機能がなかったことが残念ですが、ビデオも最大4K/60fpsのドルビービジョンによるHDR撮影もできるので、仕事用のメモ代わりに、またはSNS用に写真やビデオとしてスナップを記録する用途には十分すぎるほどiPhone 16 Proのカメラはハイスペックです。

 iPhone 16eはUSB-Cコネクターを搭載しています。最近はUSB-C接続の外付けストレージにも良い製品がたくさんあります。iPhone 16eで手当たり次第に写真やビデオを撮っても、外付けストレージに、またはストレージを介してパソコンなどに保存すればiPhone 16eの内蔵ストレージは128GBで十分かもしれません。

 とにかくiPhone 16eを安く手に入れたい方々は、外付けストレージやiCloud+のクラウドストレージの併用も考慮すべきです。

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クラウド&外付けストレージにビデオや写真をバックアップすればiPhone 16eの内蔵ストレージは小さめでOKかもしれません

iPhone 16eのイイところ その3
軽いから長時間のコンテンツ視聴が苦にならない

 最後に筆者が実感したiPhone 16eの3つめのイイところはやはり「軽さ」です。アップルは2022年に発売した「iPhone 14」で内部機構を大幅に見直して、iPhoneの軽量化に成功しています。当時の新しい機構の詳細についてアップル本社担当者にインタビューした時のレポートもご覧ください(iPhone 14は「内部設計」も大きく変更! アップル本社担当者に聞いた進化のポイント)。

 以降もアップルはiPhoneの軽量化にチャレンジしてきました。2023年にはiPhone 15 Proシリーズも前年のモデルから大幅に軽くなっています。そして2024年発売のiPhone 16は、iPhone 14よりも2g軽量化されていますが、iPhone 16eはiPhone 16よりも3gも軽さを更新。167gとしました。

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アップル純正のシリコンケースを装着しても重さは196gでした

 筆者は電車やバスで移動するときによくドラマや映画、YouTubeを観るので、長時間の片手持ちが苦にならないiPhone 16eにとても好感を持ちました。モバイルゲームを長時間プレイしても疲れにくいです。

 6.1型のSuper Retina XDRディスプレイは明るく高精細。画質はiPhone 16にも負けていないのですが、ひとつ気になった点はディスプレイ周囲の黒い縁(ベゼル)が若干太めなので、コンテンツの表示領域がわずかながらも狭くなります。

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映像は高精細。ほかのiPhone 16ファミリーに比べるとベゼルがやや太めです

【まとめ】実機に触れるとiPhone 16eのイイところが身に染みる

 iPhone 16eは、ずばり「iPhone SEからの買い換え」に最適なiPhoneです。価格とサイズがアップしてしまったことに最初は抵抗を覚えるかもしれませんが、実機に触れてみると薄さと軽さ、きれいな大画面と高機能なカメラ、そしてパワフルな快適動作に納得すると思います。携帯キャリア各社の割引プランを活用して、より安く買うことができれば相当のオトク感が得られるiPhoneになるはずです。

 これまでにiPhone Proシリーズを使っていた方は、iPhone 16eのカメラまわりの機能にやや物足りなさを感じるかもしれません。「Proから16eへの買い換え」を検討される場合は、iPhone 16ファミリーの上位モデルも十分に検討しながら自分の期待に添うiPhoneを見つけてください。

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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