ポータブルゲーミングPCにも最適のスマートグラス=ASUS「AirVision M1」実機レビュー

文●写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

2025年05月15日 09時00分



 最近、新たなディスプレーのひとつとして注目されているのが「スマートグラス」である。どんなに狭い場所でも目の前に大画面を表示できること、携帯性が高いという点がモバイルディスプレーに対する大きなアドバンテージだ。

 今回レビューする「ASUS AirVision M1」は、ASUS初のスマートグラスだ。「ROG Ally」や、Windows搭載ノートPC、Windows搭載デスクトップPCに対応しており、「AirVisionアプリ」をインストールすれば、マルチスクリーン設定や瞳孔間距離などきめ細かなセッティングが可能となる。

 ASUSから試用機を借りたので、使い勝手にスポットを当ててレビューしていこう。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「ASUS AirVision M1」10万3800円

「ASUS AirVision M1」を使うには
Windowsマシンが必須だ

 

 「ASUS AirVision M1」はUSB Type-C経由で映像入力可能なスマートグラスだ。設定アプリ「AirVisionアプリ」はWindows専用なので、「ROG Ally」、Windows搭載ノートPC、Windows搭載デスクトップPC対応と謳われている。

 スマートフォンやゲーム機などほかのデバイスでも映像出力可能だが、ファームウェアアップデートには「AirVisionアプリ」が必要なので、Windowsマシンが最低1台は必須ということになる。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

本体前面。前面レンズの透過率は60%

 ディスプレーパネルはマイクロOLED(0.49インチ)。解像度は1080p、アスペクト比は16:9、リフレッシュレートは72Hz、輝度は1100ニト(標準値)、色域はDCI-P3 95%、視野角は38度となっている。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

ディスプレーパネルは本体上部に内蔵されている

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

左側のツル後部にUSB Type-C端子が装備されている

 本体サイズは171×53×170mm、重量は87g。3DoFヘッドトラッキングに対応しており、スマートグラス内に表示した映像を空間内で固定可能。オーディオ機能としては1Wスピーカー×2、マイク×2(ノイズキャンセリング対応)を装備している。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

ツル左側にはタッチパッドが用意。タップ、スワイプ、長押し操作で明るさ、音量、表示モードを変更できる

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

ツルの中央部に1Wスピーカーが内蔵

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

上部には環境光センサーとマイク×2を配置

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

本体下部。ノーズパッドは交換可能

 付属品は充実している。
専用キャリングバッグ×1
USB Type-Cケーブル×1
インサートレンズフレーム×1
ノーズパッド×2(サイズ違い)
ライトシェード×1
クリーニングクロス×1
クイックスタートガイド×1
に、保証書が同梱される。度付きレンズを装着可能なインサートレンズフレームが同梱されているので、視力に合わせて最適化できるわけだ。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

同梱品一覧

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

本体の重量は実測88.58g

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

ライトシェードの重量は実測14.54g


専用の「AirVisionアプリ」
仮想視聴距離や瞳孔間距離も調整できる
 

 「ASUS AirVision M1」には専用アプリ「AirVisionアプリ」が用意されており、初めてPCに接続した際に自動的にアプリのダウンロードとインストールが開始される。同時に本体のファームウェア・アップデートも実施されるので、初回セットアップはネット接続環境が必要だ。

 「AirVisionアプリ」には、「デバイス情報」、「仮想ディスプレイ設定」、「表示設定」、「距離設定」、「その他」、「アプリを閉じる」のアイコンが用意されており、素早く各種設定にアクセスできる。

 左側面のタッチパッドでもある程度の設定変更は可能だが、初回セットアップは大きな画面で調整できる「AirVisionアプリ」のほうがオススメだ。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「デバイス情報」ではモデル名、シリアル番号、ファームウェアバージョンを確認できる

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「仮想ディスプレイ設定」では画面のレイアウトを変更可能

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「表示設定」では画質、モーション同期(遅延抑制)、明るさ、ブルーライト低減などを調整可能

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「距離設定」では画面の仮想視聴距離と、瞳孔間距離を調整できる

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「その他」ではジェスチャー&ホットキー設定、チュートリアル、「AirVisionアプリ」の設定にアクセス可能

飛行機や電車のなかでも
マルチディスプレーで作業できるのは非常に快適

 

 「ASUS AirVision M1」を実際に使ってみた感想だが、装着感は良好。筆者は頭囲64cmと頭がかなり大きめだが、ツルが大きく開くおかげで窮屈さは感じなかった。

 本体重量が実測88.58gなのでサングラス感覚とまでは言えないが、長時間装着してもストレスは感じない。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

頭囲64cmの筆者でも長時間ストレスなく装着できる

 「ASUS AirVision M1」は3DoFヘッドトラッキングに対応しており、マルチスクリーン表示が可能だ。たとえば「仮想ディスプレイ設定」で「仕事モード」を選択すれば、メイン画面の両側に仮想ディスプレーを配置し、左右の画面で資料やウェブページを見ながら、真ん中の画面で書類作成などを行なえる。物理的なモバイルディスプレーと違い、飛行機や電車のなかでもマルチディスプレー環境で作業できるのは非常に快適だ。

 ただ実際に使ってみて、いくつか気になった点がある。まずひとつは視野角(画角)が38度と狭いこと。最新のスマートグラスのなかには視野角が50度の製品もある。「ASUS AirVision M1」では一度に見渡せる範囲が狭いわけだ。

 また3DoFヘッドトラッキング有効時に、鼓動や呼吸により細かな揺れが発生する点も気になった。3DoF対応最新スマートグラスのなかには、装着者の細かな揺れを補正する製品が登場してきている。この揺れ問題については、ソフトウェアアップデートで改善してほしいところだ。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

「仮想ディスプレイ設定」の「仕事モード」では、メイン画面の両側に仮想ディスプレーを配置できる

 一方、タッチパッドのジェスチャーは操作しやすいと感じた。大きなタッチパッドには、手探りで小さなボタンを探すストレスはない。1本指、2本指によるタップ、ダブルタップ、長押しに各種機能を割り当てられるので、さまざまな機能に素早くアクセスできる。このあたりの作り込みはASUSならではだ。

「ASUS AirVision M1」実機レビュー

大きなタッチパッドにより、素早く操作可能。利用頻度が多い機能をより単純なジェスチャーに割り当てれば、操作性も向上する

Windows PCに最適化されたスマートグラス
「ROG Ally」にもってこい

 

 「ASUS AirVision M1」は、携帯性に優れ、場所を選ばずに目の前に大画面を表示できるスマートグラスだ。軽量設計と快適な装着感に加え、マルチスクリーン表示と3DoFヘッドトラッキングにより、移動中でも生産性の高い作業環境を実現する。

 直感的なタッチパッド操作や、度付きレンズ対応など、使いやすさも追求されている。他OSのパソコンや、スマートフォン、タブレットなどではフル機能を活用できないが、Windows PCや「ROG Ally」などのユーザーには、魅力的なスマートグラスである。

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