技術の違いが画質にも現れる出る夜景撮影
3つ目は夜景の撮影写真比較だ。こちらも等倍での撮影となるため、最も性能の高い広角カメラで、暗い場所における撮影性能を見極める参考になるだろう。
実はいずれの機種も夜景モードを使用していないのだが、それでもこれだけ明るい写真を撮影できているのには改めて驚かされる。イメージセンサーの性能が大きく向上しているうえ、各社ともに暗所での撮影にはかなり力を入れているだけに、これくらいの明るさであればもう夜景モードの必要はなくなっているようだ。
そのうえで特徴を比較すると、最も明るいと感じさせるのがPixel 9 Proだ。1インチセンサーを搭載しているわけではないのだが、それでもここまで明るい夜景が撮影できるのは、やはりAIの力が大きく影響しているだろう。
一方で、AQUOS R9 ProやXiaomi 15 Ultraの作例を見ると、暗い場所をしっかり暗く表現しながらも、明るい場所とのコントラストが明確な場所でも色飛びが少なく、より自然な仕上がりとなっている。こうした点は、1インチ超のイメージセンサーを搭載するハード性能が光るところだ。
10倍ズームは性能に加え撮影のしやすさに差が出た
最後に、10倍ズームでの撮影による作例比較をしてみよう。ちなみに撮影したのは下のような場所であり、そこから遠方にある鉄塔の先端を10倍ズームで撮影している。
その結果は以下の通りだ。
広角、超広角カメラは性能充実が進んでいる一方、搭載のハードルが高い望遠カメラはまだ開拓の余地が大きい領域でもあることから、10倍ズームとなると撮影のしやすさにも差が出やすい。実際、AQUOS R9 Proは他機種と比べ写真に手ブレの影響が出やすかったほか、Pixel 9 Proは撮影時、手ブレの影響から被写体を中央に定めて撮影するのがやや難しかった。
またiPhone 16 Pro Maxは、ズームを特定の倍率に合わせるのが難しく、正確に10倍に合わるのが意外と大変だった。被写体が綺麗に撮れる倍率に合えば数値の違いを気にする必要はない、というのがアップルの考えなのだろうが、今回のように倍率を固定して撮影する場合は難儀するというのが正直なところでもある。
iPhone 16 Pro Maxのズーム制御は特定の数値に倍率を合わせるのが意外と難しく、10倍に合わせようとしても細かなずれが生じることが多かったそうした撮影のしやすさも含めて評価すると、やはりズームに強いGalaxy S25 Ultraは撮影のしやすさ、そして細部の表現なども含め高く評価できる。ズームに力を入れているOPPO Find X8や、Pixel 9 ProもAI技術による補正が効いて画質は高いが、同じくズームに強いXiaomi 15 Ultraは高精細であるものの、赤の色合いが強くなり過ぎている印象を受けた。
【まとめ】各社が得意とする技術が写真の個性にも現れている
今回撮影比較をしてみた結果、いずれの機種も基本的なカメラ性能は非常に高く、どれを選んでも損はしないというのが率直な感想になる。そのうえで性格の違いを表すと、AQUOS R9 ProやXiaomi 15 Ultraは1インチセンサー、Galaxy S25 Ultraは望遠撮影、Pixel 9 ProはAIによる補正といったように、各社が強みとする機能がそれぞれのシーンで存分に活かされ、それが写真の個性にもつながっている印象だ。
ただ先にも触れたように、大まかな傾向として日米と中韓メーカーとでは色の表現や画作りに性格の違いがあり、それは今回の6機種にも影響している部分も感じられた。ただ、それは好みの違いという領域でもあることから、カメラに重点を置いて機種選びをするのであれば、それぞれの作例を参考にしながら自分の好みに合ったものを選んだ方が、満足度が高いのではないだろうか。
また、今回の作例を使った生放送も実施したので、下のアーカイブも合わせてご覧いただきたい。