
Apple Parkで開かれた開発者会議「WWDC25」の基調講演。全世界同時ストリーミングの映像を、Apple Parkに集まった開発者が視聴する直前、舞台挨拶に現れたTim Cook CEO。(筆者撮影)
Appleが6月9日から、米国カリフォルニア州・クパティーノ市にある本社「Apple Park」で開催した「WWDC25」では、今年秋以降リリースされる予定の最新ソフトウェアや、開発者向けの新しい技術などが公開されました。
今回のWWDCは新しいハードウェアの発表もなく、元来の「開発者向けの情報提供と交流の場」という雰囲気でしたが、約2000人の開発者が世界中から集まってのパブリックビューイングが実施された基調講演は、配信では伝わらない盛り上がりもありました。
そこで今回、特に会場で盛り上がりを見せたiPhone/iPad向けの注目すべき新機能について、ご紹介します。
1. Liquid Glassデザイン

Liquid Glassデザインを作成するために、透明のガラスのオブジェクトを実際に制作して研究をしていた様子が、基調講演のビデオでも紹介された。これらの実物も、Apple Parkに存在している(筆者撮影)
今回からバージョンネームが年号に統一され(macOS 26「Tahoe」以外……)、機能もプラットフォーム全体でのアップデートという意味合いが強くなった新OS群でしたが、特に注目を集めたのは「Liquid Glass」デザインでした。
ガラスのレイヤーを1枚、2枚と重ねながら構成されるユーザーインターフェイスは、その実装レベルが極めて高いのが特徴で、表示されているコンテンツの内容に応じて、ガラスのエッジの光り方まで丁寧に再現されています。
スマートフォンを使っていると、落として割れないよう「ガラスは硬くするもの」という印象が強いのですが、その硬いはずのガラスが、作業状況に応じて液体のように、流れるように形を変え、操作やコンテンツの邪魔にならないようにスッと避ける。
まるで、バリバリに撥水加工を施した、クルマの窓ガラスを雨滴が流れるように、スムーズに動きます。前述の光の加減やスムーズさから、正直なところ「変態的な実装」と言うべきでしょう(褒め言葉です)。
このLiquid Glassデザインの元ネタは、2023年のWWDCで披露されたApple Vision Proに実装されたvisionOSのガラスUIであることは、見れば分かります。
Appleによると、このvisionOSでは、空間に浮かべることを目的として、半透明のガラスUIを取り入れたそうです。これにインスパイアを受けて、visionOS以外の広範なデザイン言語として昇華させた結果が、このLiquid Glassでした。
この光も含めた表現、スムーズさを見ると、他方で感じるのは「めっちゃグラフィックス負荷高そう」「電力消費が大きくなりそう」ということ。
しかしそこは、最新のAシリーズチップとOSとの組み合わせで、パフォーマンスへの影響や電力消費に影響がないように作られているそうです。
早く普段使いのiPhone、iPadで試したいですね。