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「Zenfone 12 Ultra」はROG Phone譲りの高性能と大画面を踏襲しながらAIを大幅強化! (2/2)

文●佐野正弘 編集●ASCII

2025年06月22日 12時00分

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AI要約はクラウドとオンデバイスの選択が可能

 AI技術の活用強化はカメラだけではない。Zenfone 11 UltraでもAIを活用した機能がいくつか用意されていたが、Zenfone 12 Ultraではそれらをさらに強化。中でも強化がなされている機能の1つが「AI文字起こし 2.0」(ベータ版)である。

 これはプリインストールの「音声レコーダー」で録音することにより、リアルタイムでテキストに変換してくれるもの。2.0になったことでテキストの要約ができるようになったほか、複数の話者がいる場合は話者の識別にも対応している。

 実際に試してみると、確かに音声レコーダーはリアルタイムで文字起こしできるのだが、グーグルの「Pixel」シリーズや、アップルの「Apple Intelligence」対応機種で利用できるボイスレコーダーの文字起こしのように、ほぼリアルタイムで文字起こしがなされるのではなく、一定の区切りまでまとめて文字起こしをする仕組みだ。

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文字起こしが進化した「音声レコーダー」。リアルタイムでの文字起こしも可能ではあるが、PixelやiPhoneのように完全リアルタイムという訳ではなく、一定の区切りまでをまとめて文字起こしする仕組みのようだ

 それゆえPixelシリーズなどに慣れているとやや違和感があるのだが、サムスン電子の「Galaxy」シリーズや、シャオミのボイスレコーダーのように後から文字起こしすることももちろん可能。正確性を取るならそちらを活用した方がよいかもしれない。

 一方で話者識別は、録音したあとの処理となるが日本語にも対応しているのが便利。録音品質にもよるが、しっかり話者の違いをしっかり検出できるようで、精度がもう少し高ければという感はあるが、既存のスマートフォンの中では比較的使い勝手が良い方だといえる。

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録音後の処理にはなるが、日本語であっても話者識別が可能。元の音声の品質が高ければ高い精度で識別してくれるようだ

 そしてもう1つは要約機能で、音声レコーダーの文字起こしだけでなくウェブサイトやPDFなどの文章も要約できる。ブラウザーからは「共有」メニューを呼び出した後に「AI記事の要約」を選ぶ、ドキュメントの場合はファイルマネージャーからファイルを選択し、要約ボタンを押すことで要約できる。

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音声レコーダーの文字起こしだけでなく、ウェブ上の記事やPDFなどの要約も可能。要約の際にはクラウドAIとオンデバイスAIのうちどちらかを選ぶことができる

 いずれの要約も、クラウドのAIを使いスピードと正確性を重視するか、オンデバイスのAIでプライバシーを重視するかを選択できる。試しにウェブサイトの記事を双方で要約したところ、クラウドはスピードが一瞬で要約が完了し、箇条書きで見やすい要約となるのに対し、オンデバイスAIの場合は内容自体に違和感はないものの、十数秒の時間がかるのに加え、結果が文章となるためスマートフォンではやや読みづらいと感じた。

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本誌記事をクラウドAIで要約したところ。箇条書きでまとめられており、スマートフォンでは見やすく簡潔にまとまっている

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同じ記事をオンデバイスAIで要約したところ。要約の内容自体は大きく違わないが、1つの文章となっているうえに、段落などの区切りもないので読みづらいのが弱点

 それゆえ要約を利用する際には、プライバシーなどへの配慮が不要ならば可能な限りクラウドでの要約を活用し、どうしても外に出したくないものだけオンデバイスを利用する、といった形を取るのが良さそうだ。ただ、クラウドのAIを使用する場合、24時間毎に割り当てられた「クォータ」を消費し、すべて消費してしまうとクラウドAIの利用ができなくなることから、頻度が多い場合はオンデバイスのAIもうまく活用すべきだろう。

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クラウドAIは高い精度が得られるが、利用する度に「クォータ」を消費し、クォータがなくなるとその日は利用できなくなるので要注意だ

高いベース性能に加え、ついにeSIMにも対応

 そのクラウドAIなどを支えているのがチップセットとメモリーで、Zenfone 12 Ultraはクアルコム製のハイエンド向けとなる最新の「Snapdragon 8 Elite」を搭載するほか、メモリーも16GBと大容量。AI処理に欠かせないNPUの強化に加え、大容量メモリーの搭載が、AI機能の強化に大きく貢献しているといえそうだ。

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「Geekbench 6」のCPUベンチマーク結果

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「3DMark」(Steel Nomad Light)のベンチマーク結果

 これら性能はもちろんゲーミングにも役立っている。性能面ではROG Phone 9と大きく変わらないのでAAAクラスのゲームも充分快適にプレイできるし、ゲーミングをアシストする「Game Genie」の利用ももちろん可能だ。

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「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが「ウルトラHDR」、フレーム設定が「ウルトラ」までと最上位の設定が可能だ

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「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「高」と、こちらもほかのハイエンドモデルと同等。さらに最高水準にまで上げても快適にプレイできる

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ゲームアプリではもちろん、ROG Phoneシリーズ譲りの「Game Genie」の利用が可能だ

 一方で、バッテリーは5500mAhと、5800mAhのバッテリーを搭載していたZenfone 11 Ultraと比べるとやや少なくなっているが、65Wの急速に対応している点は変わっていない。またIP68の防水・防塵性能やFeliCaのサポートなどは共通しており、国内でも安心して利用できる環境は引き続き整えられている。

 そして大きな変化となったのが通信面であり、これまでZenfoneシリーズでは対応していなかったeSIMに、ついに対応したのである。SIMスロットは従来同様nanoSIM×2が備わっているので、利用スタイルに応じて物理SIMとeSIMを選んで利用できるのはメリットといえるだろう。

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SIMスロットは従来通りnanoSIM×2で表裏に挿入する形となるが、新たにeSIMにも対応。ちなみにeSIMは2つ目のSIMスロットと排他関係となっている

【まとめ】満足感は高いだけに
小型モデルの選択肢も欲しい

 まとめると、Zenfone 12 Ultraは前機種で大きく変わったコンセプトを踏襲しながらも、注目を集めるAI関連機能を一層強化し、よりAIに重点を置いたスマートフォンに仕上がっている。価格も最も安い256GBモデルで14万9800円からと、前機種より約1万円値上げがなされたとはいえ、ハイエンドモデルとしては比較的安価で、ハイエンドでないとなかなか利用できない本格的なAI関連機能を手軽に活用したい人には適しているだろう。

 ただやはり、iPhoneのスタンダードモデルを利用しているような人からすれば、やはり6.78型というサイズ感は大きく、Zenfone 10までのサイズ感のモデルも欲しいと感じてしまう。市場環境が厳しい状況だけに難しい部分もあるのだが、やはりかつてのように、ニーズに応じた複数ラインアップがあれば……というのが正直なところでもある。

ASUS「Zenfone 12 Ultra」の主なスペック
ディスプレー 6.78型有機EL(20:9)LTPO 144Hz対応
画面解像度 1080×2400
サイズ 約77×163.8×8.9mm
重量 220g
CPU Snapdragon 8 Elite
内蔵メモリー 12/16GB
内蔵ストレージ 256/512GB
外部ストレージ ――
OS Android 15
対応バンド 5G NR:n1/2/3/5/7/8/12/18/20/25
/26/28/38/40/41/48/66/77/78/79
4G LTE:1/2/3/4/5/7/8/12/17
/18/19/20/25/26/28/32/66
/34/38/39/40/41/42/43/48
W-CDMA:1/2/4/5/6/8/19
4バンドGSM
無線LAN Wi-Fi 7
カメラ画素数 5000万画素(OIS対応)+3200万画素(光学3倍)
+1300万画素(超広角) イン:3200万画素
バッテリー容量 5500mAh(65W対応)
Qi
FeliCa/NFC ○/○
防水/防塵 ○/○(IP68)
生体認証 ○(画面内指紋、顔)
SIM形状 nanoSIM+eSIM(nanoSIM×2)
USB端子 Type-C
イヤホン端子
カラバリ エボニーブラック、セージグリーン、サクラホワイト
発売日 5月30日
価格 14万9800円(12/256)
16万9800円(16/512)
 

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