山根博士の海外モバイル通信

スマホバッテリーに8000mAh時代到来! 超大容量搭載モデルが次々登場してるって知ってた?

文●山根康宏 編集●ASCII

2025年08月22日 12時00分

8000mAhバッテリー搭載のiQOO Z10 Turbo+

 スマートフォンのバッテリー容量の大型化が中国で進んでいます。7000mAhを超えるモデルが次々と出てきており、今や8000mAh台の製品も登場してます。

HONOR Powerも8000mAhバッテリー搭載

 デカバ(大容量バッテリー)搭載スマートフォンと言えば、ECサイトで販売されている中堅メーカーのタフネスモデルを思い浮かべる人が多いかもしれません。本体デザインはゴツイ代わりに、1万mAh越えのバッテリー搭載モデルも珍しくないのです。しかし、派手なデザインやサイズの大きさ、充電速度も遅いなど日常的に使うには難点があります。

1万600mAhバッテリー搭載のタフスマホ、Ulefone「Armor 28 Pro」

 そこでバッテリーそのものの改良で、容量を増やしたモデルが出てくるようになりました。当初は6000mAhクラスの製品から始まり、前述したように7000mAh、8000mAhと高容量化が一気に進み始めたのです。これはスマートフォンで使われているリチウムイオンバッテリーの内部素材を改良したことで実現しています。

バッテリーの改良で大容量化が進んだ

 各メーカーが採用している大容量バッテリーは、バッテリー内部の負極の素材をシリコン炭素に変更しています。シリコン炭素は従来のカーボン(炭素)負極材に比べより多くの電気を蓄えることが可能なのです。これにより従来と同じサイズのバッテリーで1.5倍以上もの電力を供給できるようになったわけです。

バッテリー内部の素材を変更

 物理的・技術的は1万mAhを超えるバッテリーも製造可能です。しかし、各国の安全規制により上限が決まってしまうのが実情です。そのため現時点では規制の緩い国のみ、たとえば中国やインド向けなどの製品のみ大容量バッテリーを搭載している、というケースもあります。たとえばシャオミなら「Xiaomi 15 Ultra」のグローバルモデルが5410mAhなのに対し、中国モデルは6000mAh。「POCO F7」はグローバル6500mAh、インド7550mAhです。

POCO F7はインドモデルのみ7550mAhバッテリーを搭載

 2025年8月時点で、8000mAhを超えるバッテリーを搭載するモデルはHONORの「HONOR Power」とvivoの「iQOO Z10 Turbo+」が8000mAh、HONORの「HONOR X70」が8300mAhです。おそらく来年、2026年には9000mAh超えのモデルも中国やインドで出てくるでしょう。

現時点で最大バッテリー容量モデルのHONOR X70

筆者紹介───山根康宏


 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から100万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。

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