Snapdragon 8 Elite Gen 5はAnTuTu 400万点超え! 次世代スマホの実力が判明

文●石野純也 編集●ASCII

2025年09月25日 05時30分

 クアルコムはアメリカ・ハワイ州のマウイで、9月23日(現地時間)から25日にかけ、「Snapdragon Summit 2025」を開催。例年とは一転して、新製品の「Snapdragon 8 Elite Gen 5」は、会期2日目にあたる24日に発表された。

クアルコムは、ハワイで開催中のSnapdragon Summit 2025で、ハイエンドスマホ向けのSoCの最新版となるSnapdraogn 8 Elite Gen 5を発表した

 Snapdragon 8 Elite Gen 5は、CPU、GPU、NPUを強化した最新のチップセット。中でもCPUは、クアルコム自身が「モバイルで最速」をうたっており、シングルスレッドの処理能力を20%、マルチタスクでの動作などに効くマルチスレッドでの動作を17%と、その性能を大きく向上させている。

モバイル最速をうたうCPUは、Snapdragon 8 Eliteからシングルスレッドで20%性能を向上させている

モバイル最速のSoCをiPhone Airと比較した

 CPUはSnapdragon 8 Eliteに続いてOryon(オライオン)を採用しており、その世代は第3世代に上がっている。このSnapdragon 8 Elite Gen 5をベンチマークテストしたので、その結果を現行のSnapdragon 8 Eliteを搭載した「Galaxy Z Fold7」や、「A19 Pro」を採用した「iPhone Air」と比較しながら見ていきたい。

ベンチマークテストに使用したSnapdragon 8 Elite Gen 5を内蔵したリファレンスデバイス

 まず、GeekbenchでCPUスコアを計測した。結果は以下のとおりで、シングルコアスコアは3794、マルチコアは1万2016。ただし、この数値はクアルコムが想定してるレンジをわずかながら下回っているという。

 実際、過去のベンチマーク結果を見ると、シングルコアは3837、マルチコアは1万2276とより高い数値が出ていた。

Geekbenchで計測したスコア。クアルコムの実測値の下限を下回っていたが、これはデバイスが熱を持っていたためだとみられる

1回前に計測されたベンチマークでは、より高いスコアが出ていた

 ベンチマークセッションでは、1台のデバイスでさまざまなテストが繰り返されるため、筆者が計測した際に、端末の熱が下がりきっていなかったことが要因とのこと。とは言え、これでも現行世代のSnapdragonを搭載したGalaxy Z Fold7のスコアより大きく向上している。

 筆者私物のGalaxy Z Fold7では、シングルコアスコアが2162、マルチコアスコアが7986だった。先ほどのスコアと比較するとシングルコアが約18%、マルチコアが15%ほど向上している。計測状態が悪かったためか、うたい文句どおりにはなっていないものの、十分な性能が見込めそうだ。

左がSnapdragon 8 Eliteを搭載したGalaxy Z Fold7のスコア。シングルコアで約18%ほど、性能が上がっている

 では、アップルが設計したA19 Proとの違いはどうか。ベンチマークに使用したのはiPhone Airのため、最上位モデルの「iPhone 17 Pro/Pro Max」と比べるとやや性能が落ちることを念頭に、その結果を見ていただきたい。

 iPhoneはCPUのシングルコアが3629とSnapdragon 8 Elite Gen 5に肉薄している一方で、マルチコアスコアは9141にとどまり、ここで差がついた。現行製品の中では最高性能と言われているアップルのAシリーズを超えたことで、モバイルで最速のCPUをうたっているようだ。

左がA19 Proを搭載するiPhone Air。スマホの中ではトップ性能を誇るチップセットだったが、Snapdragon 8 Elite Gen 3は、これをも上回っている

 次に、総合性能を測るAnTuTu Benchmarkでのスコアを計測した。こちらは、合計点が431万9428と非常に高い数値が出た。現行世代のGalaxy Z Fold7は、235万2509だったため、2倍まではいかないが、それに近い結果が出ている。

AnTuTu Benchmarkのスコアは、なんと400万点超え

左がGalaxy Z Fold7。ダブルスコアに近い差がついている

 AnTuTuの場合、CPUだけでなく、GPUやNPU、さらにはチップセットとは直接関係のないメモリーやストレージの速度までスコアの算出に用いられているため、単純な総合点だけでの比較はできないものの、項目内のCPU、GPUだけを取ってみても、大きく数値が上がっている。なお、iPhone AirではAnTuTuアプリが起動せず、ベンチマークを取ることができなかった。

GeekbenchのスコアではiPhone Airの後塵を拝する

 GPUのスコアにも、Geekbenchを使ってみた。こちらは、AndroidがVulkan、iOSがMetalでそれぞれAPIが異なっており、その性能差も結果に表れるため、直接的なGPUの比較にはならないという。ただし、開発者側がどの程度GPUをそれぞれのOS上で動かせるかの指標にはなる。

GeekbenchでVulkan APIを指定した際のスコア

 Snapdragon 8 Elite Gen 5の結果は、2万7714。対するiPhone Airは3万7950だった。一方で、同じVulkan APIを使った現行世代のGalaxy Z Fold7では、2万4149点を記録している。クアルコムによると23%の性能向上をしているというが、少なくともGeekbenchではそこまでの数値が出なかった。

iPhone Airとの比較。APIに違いがあるため、単純な比較はできないが、数値では見劣りしてしまった

Galaxy Z Fold7も比較的高い数値を出していたため、Snapdragon 8 Elite Gen 5でベンチマークをした際に、何らかの条件が悪かった可能性もある

もはやこれ以上なにを望む!?
今後のハイエンドはAntutu400万点超えが当たり前に

 今回は計測時間が十分ではなかったため、ほかのベンチマークは試せていないが、クアルコムによると、3DmarkのWildLifeで183~185点を記録するなど、高い数値を出している。AnTuTuで400万点を超えたチップセットは初めてで、その処理能力はかつてないほど高まっていると言っていいだろう。

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