2200億円をかけたOPPOの新キャンパスで次世代品質への挑戦を見た!

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年11月20日 19時00分

OPPOの新社屋

 OPPOでは「Apex Guard」という哲学に基づき、ハードウェアの堅牢性とソフトウェアの滑らかさを両立させることで、「次世代の品質(Next-Level Quality)」を実現するための集中的な実験と検証が行なわれています。これらの検証活動は、日常の使用や製品寿命、そして既存の標準テストを超越することを目指して設計されています。

 今回、OPPOが2200億円かけて建設した同社のキャンパスを見学してきたので、施設内で実施されているさまざまな高度な実験を紹介します。

食堂、社員寮、スポーツジムなどなど、一生住めそうな設備が整っています

スムーズネスと耐久性の検証
客観的なデータによる長期品質保証

 OPPOが追求する品質の中心にあるのは、ユーザー体験における「スムーズさ」の実現とその長期的な維持です。ユーザーの主な不満点の1つである「フリーズや故障」ではなく、「システムやネットワークのもたつき」を解消することに重点が置かれています。OPPOは業界で初めて、スムーズネスを主観的な印象ではなく、客観的に測定し、数値化して検証できるシステムを構築しています。

 この検証の柱の1つが、「48ヵ月間の劣化テストパッケージ」です。劣化テストとはいわゆる経年劣化のテストで、内部ストレージの断片化や、継続的なアプリケーション使用によるストレージへの負担を技術的にシミュレーションし、長期使用による性能への影響を検証します。

 スムーズネスの測定には、高速カメラとロボットアームが組み合わされた精密な設備が使用されます。

 ロボットアームがユーザーのクリックや操作を真似て、高速カメラがその応答速度をミリ秒単位で記録することで、遅延や応答時間を正確にデータ化します。たとえば、ダイヤル画面の立ち上げ遅延を測定し、劣化テストを経た端末とそうでない端末の結果が一致すること(スムーズさが維持されていること)を確認します。

 また、OPPOはアプリの立ち上げやホーム画面からの切り替えにおいて、「0ラグ、0遅延、0ちらつき、0クラッシュ、0誤起動、0フリーズ」という「6つのゼロ基準」を掲げています。

ラボ見学の前に防水や端末分解のデモが見られました

ハードウェアの極限信頼性テスト

 OPPOのハードウェアは、「標準テストを超越する」ことを目標に、過酷な信頼性テストを受けています。このテストは180以上のテスト項目で構成されており、究極の品質(Ultimate Quality)を目指しています。

 具体的な極限テストの内容には、極寒の-40度から高温の75度までの温度環境下での動作検証が含まれています。また、業界基準を超えた落下テスト(自由落下試験)などが実施されています。さらに、防水規格においても、高いレベルのIPX8およびIPX9がOPPOの標準として採用されています。

高度自動化されたスマート端末テストラボ

 OPPOのスマート端末テストラボは、世界最大規模の業界施設であり、高度に自動化された環境でテストが行なわれています。地上階面積は2000平方メートルを超え、2万台以上の携帯電話とタブレットが配置されており、400種類以上のOPPO機種をカバーしています。

 このラボの核となるのは、高度な自動化システムです。端末がキャビネットに入れられると、自動的にテストプラットフォームに登録され、タスクが割り当てられます。テストは24時間体制で実施され、リアルタイムでデータがアップロードされます。テスト内容は多岐にわたり、フリーズを防ぐためのコードテストや、最新バージョンでの機能(カメラ、Bluetooth、ワイヤレスなど)の毎日の検査に加え、自社開発アプリ(Noah)のストレステストが行われます。また、1万以上のサードパーティアプリについて、機種ごとの安定性を検証するテストも実施されています。

電力消費ラボでAIとAGVによる効率的な省電力化テスト

 電力消費ラボでは、携帯電話の消費電力を車でいう「燃費」のように捉え、電力消費の効率を最大化し、発熱を抑えることを目標としています。このラボでも自動化が進められており、AIがタスクの割り当てとスケジューリングを自動的に行ない、AGV(無人搬送車)が携帯電話を正確なテスト設備まで運びます。

ラボ内では、いたるところでロボットを活用しています

 テスト設備にはロボットアームが組み込まれており、ユーザーの動作を模倣しながらテストシナリオが実行されます。検証されるシナリオの1つが、電力を大量に必要とする4K 60fps録画テストです。この検証プロセスを通じて、4K 60fps録画中の消費電力を16.1%削減するなどの成果が報告されています。

 また、短編動画の視聴やハイライト再生、複数の操作を組み合わせた「ユーザーの一日」の動作をシミュレーションし、システム全体の消費電力を検証する複合シナリオテストも実施されています。テスト中は、電流とフレームレートのリアルタイムデータが収集され、動的な最適化のための分析が行なわれます。

通信安定性のためのラボ群
AI LinkBoostの検証

 OPPOは「すべてのスムーズネスは接続性から始まる」という理念に基づき、最も複雑な環境下でも安定した通信を保証するための実験を行なっています。

1. ライブネットワークワイヤレスラボ(エレベーターシミュレーション)

 ここでは、ユーザーが不満を抱きやすいエレベーター内や地下といったシナリオがリアルに再現されます。端末を載せたプラットフォームが360度回転し、人間の保持角度の変化をシミュレーションするほか、金属板の開閉によってエレベーターの扉の開閉が再現されます。4G/5Gのアンテナに加え、ノイズ設備を用いて電磁妨害もシミュレートされ、複雑な通信環境が作り出されます。

 このラボでは、信号を増強するだけでなく、ネットワークの安定性を予測し、セルラーネットワークとWi-Fiの切り替えをタイムリーに行なう「AI LinkBoost」技術が検証されています。

2. OTAマイクロ無響室

 電波の送受信性能を測定する施設です。端末を回転させながら信号強度を測定し、壁面には高密度のPRF吸収材が使用されることで、正確な測定環境が保証されています。これにより、弱いネットワーク環境下でも優れたパフォーマンスを発揮できるかどうかを評価しています。

3. マイクロ波ラボ

 中国業界初となるマイクロ波信号のテストが可能な施設です。Wi-Fi、セルラーネットワーク、ミリ波技術など、市場に出る前のすべてのネットワーク機能がテストされます。このラボは、機械視覚システムを利用したロボットアームが、0.2mmの精度で端末の位置を特定・配置するなど、超高精度な自動化が特徴です。

【まとめ】OPPOが追求する「Apex Guard」と次世代品質

 OPPOは「Apex Guard」の哲学のもと、堅牢なハードウェアと滑らかなソフトウェアを両立させた「次世代の品質(Next-Level Quality)」を追求しています。検証活動は「日常の使用を超え」「製品寿命を超え」「標準テストを超えた」水準で行なわれ、-40度から75度の温度試験や、2.5m落下試験を含む180項目以上の厳格なハードウェアテストを実施していることがわかりました。

高温のボックス内でAAAクラスのゲームをプレイ。これでも端末のパフォーマンスは落ちないというデモです

 特にスムーズネスは、主観的な印象ではなく、高速カメラやロボットアームを用いて客観的に数値化され、「48ヵ月間の劣化テスト」や「6つのゼロ基準」(0ラグ、0遅延など)により、長期的な耐久性が保証されます。また、AI LinkBoost技術はエレベーター内などの複雑な環境下での通信安定性を確保します。これらの徹底した取り組みは、フラッグシップからエントリーレベルまで、すべてのユーザーに全面的なスムーズさと耐久的な品質を提供することを目的としています。

社員寮

施設内のジム

 先日、OPPOの公式Xにて、12月16日に新製品が日本に登場することが言及されました。

 ここで発表される新製品もこれらの試験をクリアしてきたものだと思われるので、楽しみにしましょう!

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