サムスン電子は12月2日、韓国で新型スマートフォン「Galaxy Z TriFold」を発表した。製品名からわかるように、画面を3つに折りたたむことのできる製品だ。3つ折りスマートフォンはファーウェイが2024年9月に「Mate XT Ultimate Design」を中国で発売。サムスンは2番目の製品となるが、折りたたみ機構は異なっている。本体を開くと完全なタブレットスタイルになるGalaxy Z TriFoldを、韓国の発表会で触ってきたのでレポートする。
閉じると6.5型ディスプレーのスマホスタイル
Galaxy Z TriFoldは本体を閉じると6.5型のディスプレーを持つスマートフォンとして使える。そして完全に開けば10型のタブレットとなるのだ。多くの折りたたみスマートフォンは2つ折り型であり、開いた形状はほぼ正方形になるが、Galaxy Z TriFoldは開けば長方形型となり、タブレットとして大きな画面を使うことができるのである。
閉じたときのディスプレーサイズは6.5型(2520×1080ドット)で、これは2つ折り型の「Galaxy Z Fold7」と変わらない。フロントカメラも同じ1000万画素を搭載している。リフレッシュレートは最大120Hz、輝度は最大2600ニトとなる。
Galaxy Z Fold7同様、Galaxyシリーズ用のスタイラスである「Sペン」にはアウトディスプレー、メインディスプレーどちらも非対応だ。
背面カメラもGalaxy Z Fold7と同等だ。広角2億画素、超広角1200万画素、3倍望遠1000万画素の組み合わせとなる。本体サイズは75.0×159.2×12.9mm、重量は309g。ヒンジが2つある構造から、Galaxy Z Fold7と同じアウトディスプレーを搭載しながら、横幅はやや広い。重量は300gを超えとヘビー級だ。
SoCはSnapdragon 8 Elite Mobile Platform for Galaxy、メモリー構成は16GB+512GBモデルのみ。バッテリーは5600mAhで、45Wの急速充電に対応だ。本体を上から見ると、「G型」と呼ばれる折りたたみ構造がよくわかるだろう。
カメラの出っ張りもGalaxy Z Fold7とほぼ同じ高さがあるため、この部分は厚みがだいぶ増してしまう。とはいえ全体的に厚みのあるボディーのため、手に持ってみるとあまり気になるものではなかった。
G型構造の本体を開いてみる
それでは本体を開いてみよう。ファーウェイのMate XT Ultimate DesignはZ型であり、本体はじゃばらのように、1枚ずつディスプレーを開いていく。一方、Galaxy Z TriFoldはG型であり、閉じた状態のディスプレー面を裏返したのち、カメラがある側の背面を開き、続いてもう1枚の背面を開いていく。
カメラ側の背面を開くとほぼ正方形の形状となるが、Z型のファーウェイのモデルはこの状態で正方形ディスプレーを使うことができる。しかし、Galaxy Z TriFoldのG型では、片側の背面とメインディスプレーの半分が並ぶ状態となる。このまま片側のディスプレーが使えると思いきや、ぼけた表示となりこの状態では使うことができない。
つまりたたまれているディスプレー2枚を完全に開く必要があるのだ。
そして、もう片側を開けば10型ディスプレーが現れる。
ディスプレーはヒンジの途中で止めることはできず、全開か全閉かのどちらかの状態で固定される。また、左右のたたまれるディスプレーを見ると、それぞれ長さが異なることがわかる。
開いたときの大きさは159.2×214.1×3.9mm。10型ディスプレーの解像度は2160×1584ドット、最大輝度は1600ニトだ。
開いたときの3.9mmの厚さはGalaxy Z Fold7の4.2mmよりも薄い。この薄さと大きめのディスプレーの効果もあり、309gある本製品も片手で持ってみるとそれほど重さは感じられない。
この状態で背面を見ると、真ん中に消灯したディスプレーが配置される独特の外観となる。ただ、カメラを使った時にこのディスプレーがプレビュー表示になるかどうかは試せなかった。
閉じるか、開くか、という2通りのスタイルで使うGalaxy Z TriFold。開いた状態では電車の中などで邪魔になってしまわないかと気になるところだが、実際に持ってみるとそこまで幅は取らないと感じられる。
一方で混雑した電車の中では、縦向きに持つのも良さそうだ。
ところで、折りたたみスマートフォンといえばディスプレーヒンジ部分の「筋」が気になるだろう。Galaxy Z TriFoldのディスプレーはヒンジ部分の改良もあってか、筋はほとんど目立たないと感じられる。
ディスプレーを消灯すれば、光の当たり具合によって筋は見える。しかし、筆者私物のGalaxy Z Fold7と比べてみたが、Galaxy Z TriFoldのほうがより目立たなくなっているように感じられた。
タブレット画面を有効利用する多彩な表示
Galaxy Z TriFoldは10型の横ワイド表示をタブレットのように使うことができるし、複数のアプリの同時表示も可能だ。まず2つのアプリは左右均等サイズで並べることもできるし、片側を正方形サイズ、もう片方をスマートフォンの長方形サイズ、という具合にサイズの調整が可能だ。
さらに3つのアプリを縦に並べることもできる。これはスマートフォンを3台並べたような表示であり、SNSを多用する人やハードに仕事をする人には便利な表示だ。
この3つのアプリの組み合わせは、1つの大画面+上下に並ぶ2つの小画面、という表示もできる。この表示は2つ折りモデルのGalaxy Z Fold7でも可能だが、上下に並べたアプリの表示エリアが狭く、使い勝手は今ひとつだった。Galaxy Z TriFoldならこの表示も十分実用的である。
2つのアプリは画面の下に並べることもできる。
そして縦向きでもこれらの表示を工夫すれば、複数アプリをより活用しやすくなる。
そして、Galaxy Z TriFoldにはほかの折りたたみスマートフォンより優れた画面表示が可能だ。それはデスクトップモード「DeX」表示だ。DeXを起動すると、Galaxy Z TriFoldの待受画面がホーム画面へと切り替わる。
この状態でアプリを起動すると、独立したウィンドウとして表示できる。PCのように複数のアプリを同時に起動できる。この機能はサムスンの製品でもタブレットしかできなかったが、Galaxy Z TriFoldはスマートフォンでありながら標準でDeXに対応しているのだ。このことから、実はGalaxy Z TriFoldはスマートフォンというよりも、「折りたためるタブレット」という製品に近い。
このように多彩な画面表示ができるGalaxy Z TriFoldだが、2つ折りモデルが搭載している機能が1つ省かれている。それは画面をL型など、ヒンジを好みの位置に止めて利用するFlexモードだ。Galaxy Z TriFoldのような形状なら、ディスプレーの1枚だけをL字に曲げ、キーボードを表示すれば文字入力もある程度快適にできそうだ。しかし、残念ながらヒンジは完全に開く構造のため、Flexモードは利用できない。
【まとめ】スマートフォンとタブレットを融合させた新時代の端末
これまで登場した折りたたみスマートフォンは、開けば大画面が使えるといっても正方形サイズであり、16:9の動画を見たり、スプレッドシートを開いたりする場合に、大画面を有効利用できなかった。しかし、Galaxy Z TriFoldは開けばタブレットに変身するため、迫力あるコンテンツを表示できたり、オフィス系アプリを活用してより生産性を高めることができる。
一方で、普段は折りたためばポケットに入る普通のスマートフォンに変身するのだ。価格は韓国で359万400ウォン、日本円で約38万円とかなり高価だが、スマートフォンとタブレットの2台持ちをしている人や、2つ折りスマートフォンの画面サイズに不満を持っている人は購入を検討してみるのもいいだろう。
そのためにも日本でもぜひ発売してほしい。




















































