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世界初の全天周カメラ搭載ドローン「Antigravity A1」実機レビュー

文●写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

2025年12月23日 09時00分

MP4形式の360度動画。上下左右ドラッグで視点を変えられる。
 

アプリで切り出した動画
 

 操作性や体験については、中澤達也氏からコメントをいただいている。

――実際に「Antigravity A1」を飛ばしてみた感想はいかがでしょうか?

中澤氏:「Antigravity A1」は、全体として完成度が高く、特にUIのわかりやすさと操作の直感性が際立っていると感じました。設定項目は多いですが、メニュー構成が整理されており、どの操作がどの挙動に対応しているのか理解しやすいですね。FPVモードに切り替えた際の操作感はDJI製FPVドローンにかなり近く、これまでFPVドローンを触ってきたユーザーであれば、比較的スムーズに慣れることができると思います。

「Antigravity A1」実機レビュー

「Antigravity A1」の飛行、撮影を行なっていただいた、「小江戸ドローンスクール」でインストラクターを務める中澤達也氏

「Antigravity A1」実機レビュー

「Visionゴーグル」には、まるでゲームのような直感的なUIが表示される

中澤氏:一方で、本機の特徴でもあるモーションコントローラー操作はやや特殊ですね。視線や体の向きで進行方向を決めるという考え方自体は理にかなっており、慣れれば直感的に飛ばせますが、万人にとって扱いやすいとは言い切れません。

 特に、ヘッドセットを装着した状態で手を前に出す操作には恐怖感を覚える場面もあり、プロペラガードがないことや機体サイズを考えると、初心者が最初の1台として選ぶにはやや危険が伴う印象です。そのため、本機は「完全な入門機」ではなく、ある程度ドローン経験のあるユーザー向けの製品だと感じました。

――映像品質はどのように感じましたか?

中澤氏:映像面では、360度カメラの完成度が非常に高く、8K対応によって画質の余裕がありますね。飛行中に細かくカメラアングルを意識しなくてもいいので、撮影後の編集で自由に画角を切り出せる点は大きなメリットです。

 従来のドローン撮影で必要だった「水平を取る」、「構図を決める」といった作業を大幅に省略できるため、操縦に集中しながら映像制作が行なえます。操縦と撮影をひとりで完結できる点は、従来のドローンとは大きく異なる価値だと言えます。

 ただし、映画やCMなどのプロフェッショナル用途を想定すると、360度映像のスティッチ精度や自然さには限界があると感じました。高品質なシネマ用途では、従来どおり操縦者とカメラオペレーターを分けた体制のほうが安定した結果を得られる場面も多いでしょう。また、360度で撮れている安心感から「ちゃんと撮れているはず」と思い込みやすく、あとから確認すると意図しないカットになっているリスクもあります。

――プロのドローンパイロットとしての総合的な評価はいかがでしょうか?

中澤氏:メーカーが新規参入である点については、信頼性や長期的なサポート、DJIのような実績と比べた際の完成度には正直なところ不安も残ります。今後登場すると言われている競合機種と比較して、どこまで優位性を保てるかは未知数ですね。ただ、実際に飛ばしてみた体験としては非常に楽しく、UIの洗練度や360度カメラを活かした新しい撮影体験には強い魅力があります。

 総合的に見ると、本機は初心者向けというよりも、すでにドローン経験があり、新しい飛行体験や撮影スタイルを求めるユーザーに向いた意欲的な製品だと評価できます。

新しい映像体験を味わえる
次世代ドローンだ

 

 「Antigravity A1」は、Insta360の強みである360度カメラの映像技術をドローンに融合させることで、従来の空撮ドローンとは異なる撮影方法を可能とした製品だ。8K対応の360度映像はInsta360の8Kフラッグシップ360度全景カメラと同等クラスの画質を実現している(厳密にはレンズは、「Insta360 X5」はF2.0とわずかに明るい)。

 飛行中に構図を意識しなくても、撮影後の編集で好きな方向の映像を切り出せるというのは大きな魅力だ。操縦と撮影をひとりで完結できるというのは、間違いなく便利だろう。

 一方で、日本においてドローンを飛ばすためには、航空法をはじめとしたさまざまなルールを理解し、遵守する必要がある。特に本機の大きな特徴であるゴーグルを用いた操作は「目視外飛行」に該当するので、申請や補助者の配置など、ハードルは正直かなり高い。少なくとも1台目のドローンとして本製品を購入することは、避けるべきだ。

 それでも、これまでにない没入感や、撮影スタイルの自由度は、そうした制約があったとしても挑戦したくなる価値があると感じた。本機は万人向けの入門機ではないが、新しい空撮表現や体験を求めるユーザーにとって、非常に強い魅力や、利便性がある1台であることも間違いない。

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