単3電池を2本使う「緊急電源」を衝動買い
昨今、発火や爆発といった事故報道の影響もあり、モバイルバッテリーは以前ほど無邪気に語れる存在ではなくなった。それでも筆者は2000年頃、ThinkPadとほぼ同じフットプリントで、しかも異様な重量の外部バッテリーを日常的に持ち歩いていた時期がある。
その後も超重量級から超軽量級まで数えきれないほどのモバイルバッテリーに触れてきたが、今でもこの分野への興味は尽きない。ガジェッターにとってモバイルバッテリーは面白く魅力的なアイテムだ。
そんな中、Amazonを徘徊していて目に留まったのが、単3(AA)サイズの電池を2本使うというimutoの「緊急電源」だ。正直に言えば、この時点で筆者は「単3が2本でもスマホが充電できるのではないか」と、勝手な妄想を抱いていた。
だが後になって気づく。この製品のどこにもそんなことは書かれていない。これは、筆者自身の勘違いから始まった失敗ストーリーである。
さまざまな種類の単3電池2本を用いて
他の“デバイス”を充電できる
届いた商品は簡易なブリスターパック仕様だ。表面には「3600mWh」「緊急電源」といった表記が並ぶが、今思えば「スマホ充電対応」といった直接的な言葉は見当たらない。それにもかかわらず、筆者は無意識にスマホ充電を想定していた。この時点で、すでに思い込みは始まっていたのだ。
背面には使用上の注意や細かな操作仕様がぎっしりと書かれており、PSE認証も取得済みのようだった。中でも目を引いたのが、「緊急時には異なる種類の単3乾電池を混ぜてデバイスを充電可能」という、少々おかしな一文である。この“デバイス”という曖昧な表現が、スマホを連想させる余地を残していることは否定できない。
話はそれるが、このブリスターパックの裏側をめくって本体を取り出す際には注意した方がよい。重要な説明書きは、すべてこの裏面に記載されている。破線マーク部分を切って背面の厚紙を勢いよく不規則に剥がしてしまうと、説明書きはどこにも残らない。筆者は事前に写真を撮っておいたため、なんとか事なきを得た。
本体は付属の「充電式1.5V単3電池」を左右に2本装着するシンプルな構造だ。正面にはステータスLEDと操作ボタン、背面には赤いUSBケーブルが二つ折りで内蔵され、ストラップも兼ねている。非常時にも迷わず使える設計である。
製品に付属している単3リチウムイオンを充電
スマホに給電してみたが出力は2Wとやや厳しいものが
本体への充電は内蔵ケーブルを使い、一般的な5V/1AのUSB ACアダプターでする。満充電までには約3~4時間を要した。印象としてはかなり長いが、充電挙動は安定しており、緊急用としては十分だ。
ケーブルを引き出すと、プラグ部を除いた実測長は約12cm。スマホの背面にバッテリーを添わせて使うことも想定できる長さで、このあたりも筆者の「スマホにも対応しているのではないか」という期待を後押しした要素のひとつだった。
付属する単3リチウムイオン電池は2本で3600mWh表記。1.5V換算で約2400mAh相当になる。数字だけを見ると、つい「スマホでもいけるのでは」と考えてしまうが、これはあくまで電池単体の話である。そして実際にスマートフォンと接続すると、雷マークが点灯し「充電中」と表示される。
スマホにも充電できると信じていた筆者は、試しにサブスマホであるNothing Phone (3a) Liteに接続し、簡易テスターで出力を確認してみた。最大でも5V/0.5A前後、実効で約2Wにとどまる。これは1996年頃に登場したUSB 1.0と同等のレベルであり、現代のスマートフォンにとっては厳しい数値だが、理屈の上では充電不能なレベルではない。
実際にNothing Phone (3a) Lite(5000mAh)に充電してみたところ、バッテリー残量20%から35%に達するまで充電できた。しかしそれには1時間54分を要した。単純計算で750mAh程度である。しかも15%ほどでimuto側のバッテリーは全部枯渇した。変換ロスはかなり大きい。ここで気づくべきだったが、750mAh程度のミニミニスマホ用モバイルバッテリーを使っていた過去の経験から、考えが及ばなかった。
続いて、単3アルカリ電池も使えるということで、Amazonのスタンダードプロダクツ電池でも試してみた。Galaxy Z Fold7では「低速充電」「充電器を確認してください」という警告が表示され、スマホ側のバッテリー残量はまったく増えず、あっという間に赤いLEDが点灯した。給電は成立しているが、充電としては意味をなさない状態だ。
おそらくは入力される電力がスマホの待機消費電力とほぼ同等なため、入ってきた電力がその場で消費され、蓄積に回らないのだろう。雷マークは出る。しかし充電ではない。ここまで来てようやく、筆者にはこの製品の本質が見えてきた。スマートウォッチや小型カメラ、イヤホンケース、USB充電の玩具など、消費電力の小さい機器であれば現実的に使える。






































