ガジェット好きの食指が動くのは、いつだって“全部入り”という甘美な響きだ。今回、筆者の戦略的衝動買いのターゲットとなったのは、MATECHの「Power Sight 240W」。PD 3.1対応、最大240Wという怪力スペックに、リアルタイムチェッカーを搭載した“見える”ケーブルである。
遊び心満載の「光る」ギミック
手に取ってみると、まずはその外観に心躍らされる。デバイス側のプラグがサイバーに発光し、ケーブルの途中にはデジタル数字が浮かび上がる。特筆すべきは、ボタン一つでVolt(電圧)、Watt(電力)、Amp(電流)を切り替え表示できる点だ。
どこかSFアニメを彷彿とさせるアイコンが躍るディスプレーは、単なる実用品を超えた「玩具としての楽しさ」に満ちている。これ一本で、充電の「今」がすべて把握できるはずだった。
突きつけられた「No E-marker」の衝撃
しかし、喜び勇んで自前のUSBテスター(TREEDIX)でスペック検証を始めた途端、雲行きが怪しくなった。E-markerの情報を読み取ろうとしても、画面には非情な「Please Connect」の文字。テスターはケーブルの存在を認識できず、通信の迷宮に迷い込んだようだ。
念のため、他社製の100Wや240W対応ケーブルを数本繋いでテストしてみた。すると、これらは何の問題もなく「50V/5A [EPR]」という正解を叩き出す。つまり、私のテスターが壊れているわけではない。Power Sight 240Wにおいてのみ、E-markerとの対話が成立しないのだ。
分かれる結果、そして導き出された仮説
興味深いのはここからだ。友人のエンジニア、そしてメーカー側の環境でテストしてもらうと、彼らのテスター(POWER-Z)ではしっかりと「EPR 50V/5A」が認識されているという。同じ製品でありながら、テスターによって結果が真っ二つに分かれたのである。
このケーブルの最大の特徴であるケーブル途中にある「一体型チェッカー」自体が、PD通信の生命線であるCCラインに干渉している。チェッカー回路が電力をサンプリングする際、微細なデジタル信号にノイズを乗せているか、あるいはインピーダンスを変化させている。その「規格外の振る舞い」を、厳格なテスターは拒絶し、許容範囲の広いテスターは受け入れている……。これが、通信の空中分解の正体だろう。






























