チャレンジャブルなプロダクトとの付き合い方
最後に2台のテスターによる決定的な違いをご覧いただこう。片方は沈黙し、片方はスペックを誇示する。
この結果は、我々が接続するデバイス(PCやスマホ)でも同様のことが起こり得るという警告でもある。PDコントローラーとの相性によっては、本来の240Wはおろか、安全マージンを優先して出力を絞ってしまう可能性も否定できない。
だが、筆者はこの「不安定な挑戦者」を嫌いになれない。サポートのレスポンスの速さからは、自社製品への自信と誠実さが伝わってくるし、何より「ケーブルにテスターを埋め込む」という無茶な情熱が、ガジェットの進化を後押しするからだ。
完璧な安定を求めるなら、味気ない認証品を選べばいい。しかし、規格の隙間で起きる不規則な挙動を楽しみ、そのリスクすらも愛でる。それこそが、戦略的衝動買いの醍醐味なのである。
技術的“一極依存”への一抹の不安
今回の検証を終えて、筆者の胸に去来したのは、単なる相性問題への興味だけではない。ふと手元を見れば、テスト対象の全てのUSBケーブルも、それを厳格に裁くテスターたちも、すべては同じ「中国製」という巨大な資本とテクノロジーのゆりかごから生まれたものだ。
政治も、経済も、そしてこうした末端のガジェットに至るまで、今や私たちのテクノロジーライフの血流は特定の国に深く依存し過ぎている。USB-Cという世界標準の規格を追いかけているつもりが、実は一国の設計思想の箱庭で遊んでいるに過ぎないのかもしれない。
特定の技術背景を持つ製品が市場を独占する便利さの裏側で、今回のような「解釈の不一致」が起きたとき、私たちはそれを検証する術すら一国に委ねている。何事も一国依存は避けるべきだと、痛切に思う時代になってきた。そんな、少しばかり冷ややかな感慨に耽りながら、筆者は光るプラグをそっと抜いた。

T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

























