世界観は完全にカード、なのだが……
しかしながら、ここまでクレジットカードをモチーフに世界観を統一しているがゆえに、非常に残念な点がある。何と、W55Tは「おサイフケータイ」に対応していないのだ。
確かにW55Tのターゲットは、ケータイにワンセグなどの派手な機能を求めず、シンプルでベーシック、しかもかっこいいというスタイルを求めるユーザーだ。
そんな人々なら、もちろんクレジットカードも持っているし、SuicaやPASMOで電車に乗っているだろうから、わざわざケータイに「おサイフ」を入れなくてもいいのかもしれない。
この薄さの中にFeliCaチップを入れるのが難しかったという事情も考えられる。しかしドコモから今春登場する「705iμ」シリーズは、DもPもNも「おサイフケータイ」に対応している。
ほかのどのケータイよりも、カードっぽさを実現しているW55Tだからこそ、逆におサイフケータイとして機能しない方が不自然なのだ。キャッシュレスの快適さを求める人々のためにも、次のモデルでは「おサイフケータイ」という欠けたピースを組み込んで、その世界観を完成してほしい。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。自身のブログはTAROSITE.NET。
*次回は1月24日掲載予定