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グーグルの戦略に焦りが見えたワケ (1/4)

文●石川温

2018年07月30日 09時00分

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 グーグルは先週、アメリカ・サンフランシスコのコンベンション施設、モスコーン・センター・サウスにおいて、同社のクラウド技術の最新情報や今後の方向性を披露するイベント「Google Cloud Next 18」を開催した。

 グーグルはアプリなどの開発者向けイベント「Google I/O」を開催しているが、Google Cloud Nextは企業でクラウドやネットワーク関連の構築をする開発者、管理者や企業での導入を決定する経営陣を対象としている。

 クラウドサービスやAI、G Suiteなどの新機能、新技術が発表された中、個人的に気になったのが、グーグルが初めて外販する半導体製品「Edge TPU」だ。

■IoT機器向けのモジュール製品を売る

 TPUはTensor Processing Unitの略で、グーグルが開発したディープラーニング専用のプロセッサーだ。2015年に導入した初代では推論のみ、2017年に導入された第2世代では推論と学習に対応していた。今年導入された第3世代は新たに水冷システムが搭載されたのだった。

 AIの世界ではよくGPUが用いられ、話題となっていることが多いが、グーグルではディープラーニングに特化したTPUを設計することで、高速でかつ高い電力性能比で処理できるようになったという。

 ただ、これまでTPUはクラウドでの処理を前提としていたが、グーグルは新たにエッジ側、すなわちIoT機器向けの「Edge TPU」としてモジュール製品を開発し、外販していくことになった。発売時期は今年10月を予定している。

 従来、IoTといえば、身のまわりの様々な機器にセンサーと通信機能を搭載し、センサーで得た情報をクラウドに上げ続け、クラウド側で管理するというのがなんとなくの常識みたいなものであった。

 では、なぜクラウドが得意であるはずのグーグルが、エッジ、すなわちIoT側にTPUを載せるという発想になったのか。

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