カリフォルニア州のシリコンバレーにある都市、サンタクララで、W3Cの年次シンポジウムが開催されました。今年で20周年を迎えるイベントを記念して「The Future of the Web」というセッションが開催されました。日本からは、慶應義塾大学環境情報学部長(SFC)で、日本のインターネットの父と言われる村井純氏も、パネルセッションに登壇し、楽天もスポンサーとして名を連ねていました。
セッションのタイトル通り、未来のウェブに関して、25年前にウェブを作ってきた人々が語る貴重な場となりました。そのセッションを機器ながら、これまでのウェブと、これからのウェブについて考えました。
W3Cと村井純氏
W3CとはWorld Wide Web Consortiumのことで、私たちが日々、パソコンやスマートフォン、タブレットなどで見ているウェブページに関わる技術の標準化を行っている非営利団体です。「技術の標準化」とは、様々な人々や企業が用いる技術を共通化することによって便益を図ること。技術が優れていてもバラバラで利用できる人が少なければ活用されません。そこで、より多くの人が利用できるように、ルールを取り決めることです。
W3Cを設立したのは、Tim Berners-Lee氏。欧州原子核研究機構(CERN)で論文の分類に困っていた彼は、文書間をジャンプできる「ハイパーリンク」を開発し、1989年に「グローバルハイパーテキストプロジェクト」をスタートしました。
その後、1993年にウェブブラウザ「Mosaic」の登場以来、ハイパーテキストで利用される文書のレイアウトや機能を表す「タグ」が乱立するようになり、これを標準化するために、CERNをやめたTim Berners-Lee氏が、米ボストンのMITコンピュータ科学研究所で、1994年10月1日にW3Cを設立します。
そのため、今年はW3Cの20周年、というわけです。
1996年には、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)に次いで、W3Cとして2つ目の支部が、日本の慶應義塾大学に設置されました。現在でも責任者を務めているのは、1984年からJUNETと呼ばれる大学間ネットワークを構築していた、慶應義塾大学環境情報学部長・教授の村井純氏。
村井氏はメールの相互送受信やネットワークでの非英語の言語の流通などにも尽力されてきた人物です。筆者がSFCに在学時代、授業を履修していたこともあり、今ふりかえるとインターネットの世界的拠点で学んでいたのだと再認識させられます。
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